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雇用調整助成金の特例措置の延長に関する緊急要望 ~中小企業の事業継続と雇用の維持・安定に向けて~

2020年8月7日 日本商工会議所

【極めて厳しい景況感の中で、多くの中小企業が「雇用の維持」に懸命の努力】

○日本商工会議所が本年7月に実施したLOBO(早期景気観測)調査では、新型コロナウイルスによる経営への影響があると回答した中小企業は実に92・9%(※)に達し、業況DIもマイナス59・3と依然として高止まりしていることから、中小企業の景況感は極めて厳しい状況が続いている。

○危機的な経済情勢の中、6月の上記調査では、新型コロナウイルスによる経営への影響が続いていると回答した中小企業のうち、雇用関連の対応として「雇用調整助成金を検討・申し込む」と回答した企業が40・7%に達している一方で、「従業員の人員整理を検討・実施」と回答した企業は4月調査時の4・3%に引き続きわずか3・9%にとどまるなど、多くの中小企業は「雇用調整助成金」をはじめとした各種支援策を活用しながら、「事業の存続」と「雇用の維持」に懸命の努力をしているところである。

【雇用情勢の悪化を防ぐために、非常に大きな役割を担う「雇用調整助成金」】

○このように、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する「雇用調整助成金」は、雇用の維持・安定はもとより、感染拡大収束後の経済の力強い回復に向け、非常に大きな役割を担っている。

○特に、雇用の7割を占め、地域経済を支える礎である中小企業が円滑に申請・利用することができ、かつ迅速に支給されるようにすることが極めて重要である。

○このような認識のもと、日本・東京商工会議所(以下、当所)は、去る5月1日に策定・公表した「雇用調整助成金の円滑な申請・支給に関する緊急要望」をはじめ数次にわたる要望の結果、対象労働者1人1日当たりの上限額の引き上げ(8330円↓1万5000円)や、解雇などを行わず雇用を維持した場合の中小企業の助成率引き上げ(10分の10)、マンパワーの増強などによる支給の迅速化、申請書類の大幅な簡素化(記載事項の半減、添付書類の削減)などが実現した。

○また、7月31日時点の支給決定件数は累計で54万8千件、支給決定額は5852億円に達するなど、厚生労働省におかれては懸命かつ迅速に対応していただいている。

【緊急対応期間・特例措置の延長を求める多くの声】

○一方で、都市部を中心に新規感染者数が急増し、感染は各地にも拡大しつつあることから、先行きの不透明感がより一層強まっている。加えて、東京都や大阪市、名古屋市内の飲食店などを対象に営業時間短縮要請が出されたこともあり、関連業種を含む多くの企業から、9月30日までとなっている「雇用調整助成金」の緊急対応期間・特例措置の延長を求める声が聞かれている。

○こうした状況を踏まえ、「雇用調整助成金」に関して、下記の事項を緊急要望する。

 

1.緊急対応期間・特例措置の延長

○「雇用調整助成金」の緊急対応期間は、本年4月を起点とし、緊急事態宣言が解除された後であっても消費活動や経済情勢への影響を考慮し、一定期間続ける必要があるとの考えの下、9月30日まで設定されている。

○緊急対応期間中には数次の特例措置が講じられたが、特に6月12日付の特例措置では、新型コロナウイルスの影響により休業などを実施する事業主を支援するため、対象労働者1人1日当たりの上限額の引き上げ(8330円↓1万5000円)や、解雇などを行わず雇用を維持した場合の中小企業の助成率引き上げ(10分の10)が行われ、多くの中小企業からこの措置を評価・歓迎する声が聞かれている。

○一方で、上記の通り、新規感染者数の急増により先行きの不透明感がより一層強まったことから、9月30日までとなっている緊急対応期間・特例措置の延長を求める多くの声が聞かれている。

○従って、緊急対応期間・特例措置の延長を実現し、早期に打ち出されたい。

○あわせて、申請要件のさらなる緩和を引き続き検討していただきたい。

2.助成金の迅速な入金

○緊急事態宣言が発出された今春においては、「雇用調整助成金」の利用ニーズが日を追うごとに格段に高まり、各地商工会議所や全国の中小企業から、「都道府県労働局やハローワークの窓口が大変に混雑しており、相談や申請をすることができない」といった声が当所へ多く寄せられるなど、都道府県労働局やハローワークへの申請段階や、申請後の審査段階で「目詰まり」が生じていた。

○こうした状況に対して、当所は「雇用調整助成金の円滑な申請・支給に関する緊急要望」で、迅速な支給決定など「目詰まり」の解消に向け、申請や審査を担う職員のマンパワーの強化などを要望したところ、現時点ではおおむね2週間程度での支給決定がなされるに至っている。

○一方で、「雇用調整助成金」は休業手当を支払った後に支給される「後払い」の制度であることから、入金処理の早さは当該企業の資金繰りに直結する問題である。

○従って、支給決定後には、助成金が速やかに入金されるようにすべきである。

3.オンライン申請の早期再開

○「雇用調整助成金」のオンライン申請は、事業主の負担軽減、行政手続きの簡素化、感染拡大防止の観点から有効であるため、「雇用調整助成金の円滑な申請・支給に関する緊急要望」でも早期実現を求めたが、不具合の発生によりいまだに運用が停止されている。

○厚生労働省では、第三者も含めて原因の究明を行っている最中とのことであるが、早期に運用を再開すべきである。

4.申請手続きに不慣れな中小企業に対する相談体制の強化、分かりやすい周知

○日本商工会議所が本年6月に実施したLOBO(早期景気観測)調査では、新型コロナウイルスによる経営への影響が続いていると回答した中小企業のうち、40・7%の企業が雇用関連の対応として「雇用調整助成金を検討・申し込む」と回答している。

○このことからも、今般の「コロナショック」により、「雇用調整助成金」を初めて申請する中小企業は今後も増えていくと思われる。しかし、「申請要件が複雑で分かりづらい」「初めての申請で、申請書の作成方法がよく分からない」といった声がいまだに多く聞かれている。

○したがって、厚生労働省は都道府県労働局やハローワークの窓口、さらにはコールセンターなどにおいて、中小企業からの問い合わせや相談にきめ細かく丁寧に対応されたい。

○また、商工会議所などの地域経済団体、業界団体や地方公共団体などが、都道府県労働局やハローワークに対して、窓口相談のために社会保険労務士などの専門家の派遣を依頼した場合には、速やかに調整し派遣するなどして、申請手続きに不慣れな中小企業に対する相談体制をより一層強化していただきたい。

○加えて、「雇用調整」助成金というネーミングが分かりづらいという声もあることから、「雇用の維持」のための助成金である旨が中小企業にストレートに伝わるような分かりやすい周知や、数次にわたる特例措置に関する丁寧な広報も求められる。

(※)「影響が続いている」59・4%、「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」33・5%の合計。