日本商工会議所は4月30日、全国の商工会議所を通じて企業にヒアリングした結果を取りまとめた早期景気観測調査「商工会議所LOBO調査」の4月結果を発表した。調査期間は4月15~21日。4月の全産業合計の業況DIはマイナス14・1と、前月から9・7ポイントの大幅悪化。先行きDIもマイナス28・4とさらに悪化するとの見方が広がっている。消費増税に伴う駆け込み需要の反動減などにより、卸売業、小売業で売上が大きく落ち込んだことなどが影響している。
建設・製造はプラス圏
4月の全産業合計の業況DIは、前月から▲9・7ポイントの大幅ダウン。仕入コストや電力料金、人件費などの負担増が続く中、小売業や卸売業で売上が大きく落ち込む一方、建設業や輸出が好調な自動車、飲食・宿泊業などは堅調に推移。業種によって消費税引き上げによる影響にばらつきがみられた。
業種別では、建設業は、人手不足や資材価格上昇に伴う入札不調があるものの、公共工事による下支えが続く。製造業は、一部で駆け込み需要の反動減がある一方、輸出が好調な自動車関連などがけん引し、プラス圏で推移。
卸売業は、小売業からの受注が減少したことからマイナス幅が拡大。小売業は、家具・家電や高額品中心に売上が大きく悪化し、過去最大の悪化幅(前月比▲31・9)を記録した。サービス業は、歓送迎会などの利用客が伸びているほか、宿泊業などの観光関連も堅調に推移していることから改善した。
先行きについては、先行き見通しDIが▲28・4(今月比▲14・3ポイント)と、大幅な悪化。自動車や観光関連など堅調な業種がある一方、仕入コストや電力料金、人件費などの負担増加分の価格転嫁が進んでいない。受注減少や消費マインド低迷の長期化、取引先からのコストダウン要請の強まりなどへの懸念もあり、先行きに慎重な見方が続く。
建設業からは、「公共工事は堅調」(一般工事)、「4月に入り、リフォーム案件が激減」(一般工事)といった指摘があり、製造業からは、「駆け込み需要の反動で売上が3割減」(家具製造)、「自動車関連の受注は好調」(自動車部品・工作機械製造)などの声が寄せられている。
卸売、小売業からは、「取引先からの値下げ要求強まり、転嫁は困難」(建築材料卸売)、「食料品は例年並みに戻りつつある。他方、衣料品や雑貨は低調」(百貨店)、「夏頃には持ち直す見込み」(化粧品販売店)などの声が聞かれた。
サービス業からは、「燃料費の上昇、高速料金の割引縮小・廃止が収益を圧迫」(運送)、「歓送迎会などの利用が伸びた」(飲食店)、「増税分の転嫁の影響はない」(旅館)などの指摘があった。
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