日本商工会議所の三村明夫会頭は17日、東京・平河町の自由民主党本部に谷垣禎一幹事長と稲田朋美政務調査会長を訪ねて、相次ぎ会談した。会談には中村利雄専務理事、宮城勉常務理事、青山伸悦理事・事務局長も同席。自民党の新執行部に対して、地方の景気情勢に関する認識や、中小企業を取り巻く厳しい経営環境などについて説明。谷垣幹事長は、地方の声、中小企業の声を党の活動に生かしていく意欲を示した。
谷垣幹事長との会談で、日商の三村会頭は、現在の景気情勢について、まだ地方、特に中小・小規模企業にまで景気回復の実感が行きわたっていないことなどを訴えた。18日から新メンバーとして出席する産業競争力会議についても触れ、「今後とも、率直に地方や中小企業の実態を申し上げていきたい」と述べ、理解を求めた。谷垣幹事長は、「法務大臣の時はなかなか今日のような機会が少なかった。日頃感じていることを教えてほしい」と応じ、商工会議所の活動に期待を表明した。
また、中小企業政策や地方創生、この秋に行われる県知事選や来年の統一地方選挙、大詰めを迎えているTPP交渉など内外の諸問題にも触れ、意欲的な政策を打ち出す安倍政権を支える党内の人事に万全を期していく考えを表明。現在、冷え込んでいる中国との関係については、最悪の時期は脱しつつあるとの考えを示し、党としての交流再開に意欲を示した。
引き続き行われた稲田政調会長との会談で、三村会頭は、「全国の商工会議所の数は514で会員企業は約126万社。ほとんどが中小企業だ」と述べるとともに、「地方の特に中小企業には、アベノミクスの効果が届いていない」との見方を示した。
また、女性の活躍と正社員・非正規社員問題に関連して、「4~6月期の統計で、非正規から正規に転換した労働者が約99万人いる。そのうち65%くらいが15~34歳の若者だ」とアベノミクスの効果を高く評価。さらなる女性の活躍に向け、経済的安定性の重要性を指摘した。
稲田政調会長は、「中小企業の再生があってはじめて日本経済の再生につながる」と述べるとともに、「女性の活躍と地方創生はアベノミクス第2章の中心だ」と指摘。「女性に対して、『日本のために子供を産んでくれ』と言ってもダメ。自ら産んで育てたくなるような施策を考えたい。現状では、少子化克服のためには、女性が3人産んでも働きやすい環境が必要」との考え方を示した。
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