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広がるインターンシップ・職場体験 教育支援・協力活動に関するアンケート調査

人材育成支援実施は76% 商工会議所の中核事業に

日本商工会議所はこのほど、各地商工会議所のキャリア教育活動の実態や事例をまとめた「商工会議所キャリア教育活動白書VOL.2」を発表した。白書は、平成20年度から実施している「教育支援・協力活動に関するアンケート調査」をベースにしたもので、24年度からは経年変化も分析。商工会議所の中核事業となっている各地の先進事例や今後の課題などを取りまとめている。特集では、インターンシップや職場体験の取り組みなど同調査結果の概要を紹介する。

⑴調査概要

⑵集計結果概要(略)

⑶教育支援・協力活動実施商工会議所数などの推移

●回答があった374商工会議所のうち284商工会議所が教育支援・協力活動を実施しており、実施率は8割(75・9%)に近づいてきた。

●実施地域は、調査を開始した平成20年度と比較すると、190商工会議所から284商工会議所に94カ所(約50%)増加し、前回調査した平成24年度の267カ所との比較では、17カ所(約6%)増えている。商工会議所が中心となった社会総がかりでの教育支援・協力活動が各地に普及していることがうかがえる。

●実施されている事業の総数は、教育支援・協力活動実施商工会議所数の増加に伴い、平成20年の273件から422件に149件(約55%)増加し、平成24年度との比較では、16件(約4%)増えている。

⑷教育支援・協力活動の実施理由

●教育支援・協力活動を実施している284商工会議所のうち248商工会議所が、「外部からの依頼」を実施理由に挙げている。また、36商工会議所は「外部からの依頼は無かったが実施している」と回答しており、商工会議所の自主的な取り組みが着実に増えている。 ●77商工会議所は「外部からの依頼も無く、実施していない」との回答であったが、そのうち、68商工会議所は「依頼があれば是非協力したい(6カ所)」「依頼があれば可能な限り協力したい(62カ所)」との前向きな意向がある。

●「依頼があっても協力できない」理由として、「人的負担が大きいから」、「協力先企業の確保が困難だから」などが挙げられた。

●キャリア教育支援・協力活動の依頼元としては、1位「高等学校・専門学校」(137カ所)、2位「大学」(84カ所)、3位「小・中学校」(57カ所)の順となっている。商工会議所は、初等教育から大学まで、各教育段階において、多様な教育機関などと連携して、地域のキャリア教育推進の中心的な役割を担っている。

⑸地区内人口別教育支援・協力活動の実施率など

●地区内人口の多い商工会議所ほど活動の実施率が高い傾向は前回調査の平成24年度から変わらないが、地区内人口5万人未満の小都市商工会議所においても実施率が7割近く(68・8%)に達し、平成24年度と比較して10ポイント以上増加した。

⑹ブロック別教育支援・協力活動の実施率など

●地域ごとに見ると、9ブロック中5ブロックで実施率が増加しており、特に北陸信越、関東、中国の3ブロックでは、約10~18ポイントの高い伸びとなった。全体の実施率は75%を超えて8割に近づきつつあり、教育支援・協力活動が地域に根差した活動として全国的な広がりを見せている。

⑺実施内容別の活動数など

●活動内容の内訳は、前回調査の平成24年度と同様、「インターンシップ・職場体験」が最多で、全体の48・6%を占める。

●平成24年度と比較すると、「教育機関への社会人講師の派遣」(8・9%↓11・4%)や「各種講座・授業の開催」(4・9%↓7・3%)の割合が増加しており、企業人が教育の現場に出向き、自身の経験を学生に直接伝える活動にニーズが高いことが分かる。

⑻助成金の有無

●教育支援・協力活動を実施するに当たり、助成金を受けているのは全体の活動のうち19・9%で、平成24年度同様、助成金を受けずに活動している商工会議所が大多数を占める。

●助成元については、市町村が61・1%、都道府県が29・6%と、平成24年度と比較して割合が増えている。

⑼インターンシップの推進と課題

①インターンシップ推進の動き

インターンシップは、学生が自己の適正や将来設計を考えることによって職業観や就業観の醸成につながり、将来の主体的な職業選択や高い職業意識の育成が図られる有益な取り組みである。また、企業などの現場において就業体験を積むことで、主体性、課題発見能力、協調性といった「社会人基礎力」を身に付けた人材の育成にも資する。こうした、インターンシップによって学生が得る効果は、就職後の企業などにおいて実践的な能力として発揮される。インターンシップの普及は実社会への適応能力を持った実践的な人材の育成につながる。

一方、企業にとってインターンシップは、学生に自社の特色や魅力を知ってもらう絶好の機会になるとともに、学生の斬新なアイデアや先入観のない意見を商品開発や職場の改善につなげられるほか、学生を指導する若手社員の成長も期待できる。

政府においても、未来を支える人材力の強化のため、「日本再興戦略2015」に大学などにおけるインターンシップの推進を盛り込むなど、取り組みを加速。教育機関におけるインターンシップの単位認定化や実施期間の中長期化を促進するとともに、有給インターンシップや中小企業へのインターンシップの普及を産学連携により推進していくことが提言されている。

また、就職活動の長期化によって学生が学業に専念できない現状を改善するため、平成27年度の卒業生から就職活動時期が後ろ倒しされた。これに伴い、インターンシップに取り組む学生が増えるということも期待されている。

②商工会議所におけるインターンシップの取り組み

商工会議所が実施している教育支援活動422件のうち、インターンシップ・職場体験の取り組みは205件(48・6%)と約半数を占める。平成20年度の調査(153件)と比較すると、大幅に増加している。受け入れ期間は、1週間以内の短期間とするケースが大半であるが、生産ラインの現場に配属して実践的な技能習得の機会を提供している例や、1カ月から半年にわたって学生を受け入れる長期報酬型や住み込み型のインターンシップを実践している事例もある。

取り組み期間については、3日以下が97件(49・7%)で最も多く、次いで7日以下が54件(27・7%)、14日以下が25件(12・8%)、15日以上が19件(9・8%)、未回答が10件であった。また、その対象については、小学生が8件(4・1%)、中学生が31件(15・9%)、高校生が63件(32・3%)、大学生が79件(40・5%)、専門学校生が6件(3・1%)、その他(職業訓練生や社会人)が8件(4・1%)であった。

③商工会議所におけるインターンシップ推進の課題

商工会議所におけるインターンシップ推進の課題としては、「人的負担が大きい」ことが62%と最も多く、次いで「企業側の協力が得られない(28・6%)」、「会議所にノウハウがない(27・3%)」の順で続く。中小企業においては、学生を受け入れるための人員の確保などが困難な上、インターンシップのメリットを見出せず協力に踏み切れない場合も多い。中小企業の魅力発見や就職活動のミスマッチ解消につながる仕組み、インターンシッププログラムのモデルや実施マニュアルの作成・提供など、学生と受入側の双方にとってメリットがあり、また、負担を緩和する支援策が必要である。

商工会議所がインターンシップ受け入れのメリットを広く伝え、企業の理解・共感を得ていくとともに、商工会議所間においても、互いの取り組みや成功事例を共有するなど連携してノウハウを蓄積していくことが必要である。

④まとめ

インターンシップを推進するに当たり、企業においては「人手不足」「対応の仕方が分からない」などの課題があり、学校(学生)においては「協力企業がいない」「インターンシップが単位認定されないため、学業との両立が難しい」などの課題があり、さまざまなミスマッチを解消する必要がある。インターンシップの普及のためには、野田商工会議所(千葉県)や春日井商工会議所(愛知県)の事例のように、商工会議所が企業と学校(学生)の間に入り、コーディネーターの役割を果たすとともに、教育効果の高いインターンシッププログラムを開発・運用することが求められる。また、尾鷲商工会議所(三重県)の事例のように、商工会議所が中心となって地域ぐるみで都会の学生を受け入れるなど、インターンシップの重要性を地域全体に浸透させ、次世代を担う人材を地域で育成していく体制作りが必要となる。

インターンシップの普及・推進を図る上で、「量」の拡大と同時に、これを真に人材の成長の場とするための「質」の向上も求められている。教育的効果の高いインターンシップを実施するためには、企業、学生、大学の三者のニーズを十分に把握・調整し、ニーズに合ったインターンシッププログラムを開発・運用できる「専門人材」を育成するとともに、産学が協力してインターンシップに取り組むことができるプラットフォームの構築も必要である。

商工会議所はこれまでも、地域のキャリア教育活動におけるコーディネーター役として、企業と学校(学生)の間に入って調整を行い、スムーズな運営や双方の事務負担の軽減に貢献してきた。また、商工会議所がリーダーシップを発揮して、地元企業や学校、教育委員会、自治体などと連携して協議会を組織するなど、社会総がかりでの教育再生の中心的な役割を果たしており、多くの商工会議所がキャリア教育アワードの各賞を受賞するなど高い評価を得ている。今後も、商工会議所は、地域に根差した経済団体としての役割を発揮し、将来の地域経済社会の発展を担う人材を自らの地域で育てるために、インターンシップの推進に取り組んでいく所存である。

⑽活動に対する評価

●教育支援・協力活動に対する評価は、平成24年度同様、商工会議所と企業の回答が、学校より厳しめとなっているが、それぞれ「概ね好評」とする割合が7割を超えた。

⑾商工会議所が取り組むキャリア教育・就職支援活動に関する主な意見(略)

⑿教育支援・協力活動実施商工会議所一覧(略)