政府は10月29日、「一億総活躍社会」に向けたプランの策定などを審議する「一億総活躍国民会議」を開催した。会議に出席した安倍晋三首相は、「みんなが活躍できる社会をつくるために、それを阻むあらゆる制約を取り除いていきたい」とあいさつ。少子高齢化を克服するべく、「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の「新三本の矢」の実現を目指す考えを示した。日本商工会議所の三村明夫会頭は会議終了後、記者団に対し、「掛け声倒れに終わったら、日本の将来はない。それぐらいの危機意識を持たなければならない」と述べた。 会議には、政府から安倍首相はじめ、加藤勝信一億総活躍担当大臣ら関係閣僚13人、民間から三村会頭ら15人が出席。三村会頭は、「デフレ時代には下を向いて歩いていた。アベノミクスによる成長で少し前を向いて、今回の会議は、5年、50年後の明るい日本をつくろうということであり、これが成功すれば、われわれはもっと上を向いて歩ける」と会議への期待を表明した。
また、明るい日本への実現に向け「人口減少対策の強化」「働きたい者の意思を尊重した労働環境の整備」「恒久的な財源の用意」の3点を強調。あらゆる対策を総動員し、1・8の出生率を目指し、2020年までに人口減少のトレンドを変えることが必要と述べた。
さらに、高齢者や女性の労働市場への参加を促すための労働基準法や税制の改正など早期の対策が必要との見解を表明。社会保障の重点化・効率化、応能負担の導入などによる恒久的財源の確保の重要性を訴えた。
安倍首相は、「一億総活躍社会」の実現に向け、新三本の矢の目標として「戦後最大のGDP600兆円」「希望出生率1・8の実現」「介護離職ゼロ」を挙げ、その実現を強調。「省庁の枠組みを越えて、従来の発想にとらわれない対策を取りまとめていただききたい」と国民会議への期待を示した。
第一弾として、今月末を目途に、緊急に実施すべき対策を国民会議として取りまとめる考えを表明。併せて、具体的なロードマップである「ニッポン一億総活躍プラン」の来年春ごろの取りまとめに向け、基本的な考え方を整理する方針も示した。
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