日本商工会議所は11月1~5日、日中経済協会、日本経済団体連合会と合同で初めて訪中団を派遣。過去最大規模となる総勢220人が参加し、経済関係改善へ中国政府首脳らと意見交換を行った。4日には、北京の人民大会堂で李克強首相と会談。李首相は、来年から始まる「第13次5カ年計画」について、「年平均経済成長率6.5%以上を維持する」考えを表明した。日商の三村明夫会頭は、「中小企業が地域経済を発展させ、日本経済全体の発展を支えている。中国の中小企業とも連携していきたい」と中国との協力関係強化に期待を寄せた。日本の経済界代表が中国の首相と会談するのは2009年の温家宝首相(当時)以来6年ぶり。
李首相と会談
訪中団には、日商からは三村会頭はじめ、立石義雄副会頭(京都・会頭)、伊東孝紳特別顧問(東京・副会頭)、前田新造特別顧問(東京・副会頭)、釡和明特別顧問(東京・副会頭)、小林栄三特別顧問(東京・特別顧問)、朝田照男特別顧問(東京・特別顧問)らが参加した。
李首相との会談で三村会頭は、「戦略的互恵関係の重要性」「地域経済発展のための中小企業の役割」を強調。最近の中国経済の減速について、「国が経済発展を遂げていく上で通らなければならない必然的な過程。『新常態』に向けた政策転換は非常に困難が伴うが、必ず達成できると信じており、ソフトランディングを期待している」との見解を示した。
また、日本企業の対中投資について、労務費の高騰などに直面し、転換期を迎えていると指摘。「これまでのコスト競争力をベースとした生産基地から、中国国内マーケットへの浸透を図る『地産地消』への転換であることから、良好な政治環境の安定的・継続的な維持を希望する」と述べた。
李首相は、「長期的に安定した関係を築くためには、先行きの見通しを立てることができるようになることが重要」と強調。「市場で公平性が保たれるよう規制緩和や知財の保護などに取り組んでいる」とビジネス環境改善に注力していく考えを示すとともに、「毎年の訪中を期待している」と述べ、日本経済界との定期交流に意欲を示した。
会談に先立ち、訪中団は「イノベーションとグローバルビジネス協力」をテーマに日中企業家対話を開催。両国の金融保険、自動車製造、電力エネルギー、輸送物流、機械製造などの企業から約300人が出席した。
また、工業信息化部、商務部、国家発展改革委員会、中国国際貿易促進委員会(国貿促)などと懇談。国貿促とは、両国の経済交流促進に向け、日本側3団体との協力覚書を締結した。今後、情報の共有、ビジネス環境についての建議、相互訪問の促進、官民対話、企業商談などの分野で協力していく。
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