日本商工会議所は8月18日、「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査(第3回)調査結果」を取りまとめ、公表した。消費税引き上げ分の転嫁の状況は、第2回調査結果(平成26年9月)とほぼ同様に、約6割の事業者が全て「転嫁できた」と回答した。調査は、平成26年4月の消費税率8%への引き上げについて、中小企業における価格転嫁の状況を把握するために、全国の3135事業者にヒアリングを実施。価格転嫁に係る調査は、平成26年5月と9月に調査しており、今回で3回目となる。
消費税引き上げ分の転嫁の状況は、約6割の事業者が全て「転嫁できた」と回答。「一部転嫁できた」と合わせて、約9割の事業者が転嫁できた結果となっている。一方で、「全く転嫁できなかった」事業者は約13%で前回調査(平成26年9月)より約2ポイント上昇している。
これらの要因として、日商では調査対象企業として転嫁が困難な事業者の割合が高いBtoC事業者が増加(約5ポイント)していることや、消費者の消費意欲減退や競争環境が激化により飲食業の「転嫁できた」割合が減少(約5ポイント)したためと分析。全体としては、前回の調査結果と転嫁の状況はほぼ同様の結果と見ている。
また、BtoB事業者に比べ、BtoC事業者や売上高が小さい事業者ほど転嫁が困難であるとの結果となっている。一方で、売上高の大きい事業者においても、前回調査と比較して「転嫁できた」割合が低下している。価格設定においては、6割を超える事業者が消費税引き上げ分を販売価格に上乗せしている。
消費税引き上げ後の売上の状況は、事前の「想定通り」が約5割で、前回調査と比較して約5ポイント低下。「想定を上回った」「想定を下回った」は、ともに前回調査から約3ポイント増加している。 10%への引き上げ時においては、約4割の事業者が今後も全て転嫁できると見込んでいる。一方、約3割の事業者が現時点では「転嫁できるかどうかわからない」と回答している。
さらに、外税表示の有効性については、約5割の事業者が「転嫁に有効」と回答。約6割の事業者が外税表示を選択できた方がよいと回答している。
最新号を紙面で読める!