中高齢者の健康づくりに バレエを活用した運動プログラム開発
SAY株式会社 代表取締役 藤井治子(ふじい・はるこ)
バレエの姿勢が健康をつくるニーズ確信し、事業化
私は「ハッピーバレエ・ストレッチ」という運動プログラムを開発し、定期レッスンを行う教室を運営しています。この運動プログラムは、中高齢者の健康づくりを目的としたバレエを取り入れたトレーニングで、医師の監修を受けて開発しました。現在、関西を中心に名古屋、岡山など13カ所に教室を展開し、総生徒数は約260人。12人の認定講師がレッスンを実施しています。
バレエが健康づくりに良いのは、〝真っすぐに伸びた美しい姿勢〟を身に付けることが〝体幹筋力の強化〟につながるからです。50歳を超えると人の筋力低下のスピードはそれまでの2倍になり、その結果背中が曲がっていくケースが多く見られますが、バレエの姿勢トレーニングはこれを防ぐのに優れています。体幹が強くなると姿勢が良くなり、呼吸がしやすくなり、血流が良くなる。内臓も働きやすく、疲労も回復しやすくなります。
私は30歳のとき趣味でバレエを始め、こうしたバレエの健康効果を実感しました。またちょうどその頃、私の母が体力の衰えとともに更年期障害に苦しみ、自信を失っている姿を目にしたのです。そんな母の様子に、バレエを中高齢女性の健康のために活用できたら、多くの女性たちを体の不調や不安から解放することができると考え付きました。そして35歳のとき、現在の共同経営者と共に健康のためのバレエを教えるボランティア活動を立ち上げ、老人ホームの一角を借りて近隣住民へのバレエレッスンを始めました。この経験を通じて、「バレエは中高齢女性の健康づくりに生かせる。ニーズがある」と確信し、運動プログラムの開発を始めるとともに事業化に踏み切りました。
バレエ講師の活躍の場にも
事業を支えているのは〝バレエを愛し、人を愛する女性講師陣〟です。起業後、質の高いサービスを提供するため講師の育成研修制度を確立し、バレエスキルを持つ人材を募って育成しています。集まったのは、自らのバレエスキルを人々の健康や幸せのために生かしたいという女性たちです。今後は、彼女たちのような熱意ある人材が最大限に活躍できるような事業の仕組みをつくり上げたいと思います。
起業して4年。41歳となった現在、毎日が心から幸せだと感じます。事務経験しかないまま起業した私は、資金繰りや営業、宣伝、採用など体当たりで臨み、多くの方に応援していただきました。失敗もしましたが、探し続けた「人生を懸けて夢中になれること」を見つけられたのは、諦めなかったからだと思います。当社が掲げる目標は、「人生最後の日まで、自分の足で歩く!」。気付けば私自身の人生の目標にもリンクしています。講師も生徒も社会も幸せになることを目指し、この事業を日本全国に、いずれは世界へ拡大したいと考えています。
会社データ
社名:SAY株式会社
所在地:大阪府大阪市中央区淡路町3-4-13 東和ビル4階403
電話:06-7502-9785
創業:2015年
事業概要:サービス業・ヘルスケア関連事業(バレエを活用した中高齢者のための健康づくり事業)
※月刊石垣2019年12月号に掲載された記事です。
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