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情熱ぴーぷる 第18回女性起業家大賞・グロース部門優秀賞

訪問看護ステーションを運営 医療・ケア両面で自宅療養を支援

株式会社洗心 代表取締役 露木里恵(つゆき・りえ)

株式会社洗心 代表取締役 露木里恵(つゆき・りえ)

がん闘病経験から起業決意

私は20年以上、訪問看護師として勤務していました。訪問看護とは、病気になっても障害を負っても自宅で暮らしたいと願う人の自宅療養をお手伝いする仕事です。自ら訪問看護ステーションの開業に至ったのは、自身の闘病経験がきっかけでした。33歳で結婚し、もうすぐ出産というとき、急性骨髄性白血病と診断されたのです。何とか出産し、母子共に奇跡的に生還しましたが、私には1年半の入院生活が待っていました。しかも白血病は治療すれば必ず治る病気ではなく、治療入院中に死に至れば、やっと生まれた子どもの養育に関われないまま死ぬことになります。それは受け入れ難く、大学病院の医師や看護師を説き伏せて、在宅医・訪問看護師の協力を得、治療途中は自宅で過ごすこと、維持療法の抗がん剤治療も在宅で行うことを決めました。

幸い入院は1年で済み、自宅での生活の中に治療を挟み込んで、精神的にも安定した療養生活を送れました。無事寛解(かんかい)に至ったとき、生かされたことに感謝すると同時に、「もう一度訪問看護に向き合い、どんな病状の方もお断りしない訪問看護ステーションを開業したい」と考えました。その頃は介護保険、医療保険の増大が国の財政を圧迫していることもあり、国は在宅療養・在宅看取(みと)りを推し進めていました。これには専門的な知識や技術を持つ訪問看護師の存在が欠かせないため、訪問看護ステーションの開業には勝算もありました。

まずは看護師6人で運営を開始。創業者の私自身がん経験者であることから、がんの治療中やターミナル期の患者さんが多く利用しました。その後、患者さんの在宅生活を支えるには看護師だけでは不十分と感じ、居宅介護支援事業所を立ち上げました。ケアマネジャーや福祉職が加わることで、がん患者の疼痛(とうつう)の管理や点滴などの看護と、入浴や家族の休息の確保などケアの充実が図れました。

住民の〝保健室〟開設 地域医療・福祉の中心へ

家で暮らす患者さんに必要なケアを組み立てていくうちに従業員は10人、20人と増えました。従業員の質の向上を図るため、彼らには自社や他機関の研修を積極的に受けることを勧めています。現在は、看護大学院に進学する看護師や看護のエキスパート「認定看護師」の育成にも力を入れています。

緊急時の対応や患者さんの意思に沿ったケアの提供が円滑にできるよう独自の情報共有ツールも作成。また、地域住民が自身の健康や介護、看護について気軽に相談できる〝保健室〟とキッチン付き多目的レンタルスペースを備えた施設「暮らしの保健室晴ればれ」を2018年に開設しました。看護師や専門職のボランティアが常駐し、がんの相談にも応じます。

個人のケアから始まった私たちの訪問看護ステーションですが、今後は地域の医療・福祉の中心となり、安心して暮らせるまちづくりを目指すことが使命であると考えています。

会社データ

社名:株式会社洗心

所在地:山梨県甲府市朝気3-18-5

電話:055-223-1234

創業:2009年

事業概要:2009年

HP:http://kurashi8080kofu.com/

※月刊石垣2020年1月号に掲載された記事です。

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