翻訳・通訳事業で企業のグローバル化を支援 女性が働きやすい環境づくりも推進
株式会社ブリジック 代表取締役 木村由貴子(きむら・ゆきこ)
異文化コミュニケーションの懸け橋になりたい
2014年、企業を対象に翻訳、通訳業務を行う会社を栃木県矢板市で立ち上げました。製品仕様書から契約書類まで、英語を中心に中国語、韓国語など10カ国語以上の翻訳に対応。高度なスキルを要する技術系の同時通訳や語学研修、人材派遣も行っています。
幼い頃、母の好きなカーペンターズの曲を聞いて英語が好きになり、いつか英語を使う仕事をしたいと考えていました。大学では「異文化コミュニケーション」を学び、その知識が生かせる仕事をしたいと大学研究室の助手や高校の英語科非常勤講師、派遣社員として大手企業での技術系の翻訳や通訳業務に従事してきました。
そうして経験を重ねる中で、企業の優秀なエンジニアたちが、一定の英語力を持ちながら会議でうまく発言できなかったり、話がこじれてしまったりする場面に何度も遭遇したのです。「交渉力を高めれば、グローバルビジネスでもっと飛躍できるのに」とはがゆさを感じ、「自分の経験を生かして、世界で活躍しようとするビジネスパーソンを手助けしたい。異文化コミュニケーションの懸け橋になりたい」と思うようになりました。
派遣元の翻訳会社の経営者が引退したのを機に独立開業を決意。当時は子育て中で、小さな子どもを置いて仕事に出掛ける日々が辛く、もっと子どもとの時間をつくりたかったことや、起業した父の姿を見てきて、起業に面白さを感じていたことも背景にありました。
企業内の研修教材も開発中
創業時は、経営の基礎知識を身に付けること、販売経路を確立することが大きな課題でした。翻訳や語学講師としての経験はあるものの経営の知識はなかったため、公的機関の創業支援窓口などで情報を収集し、創業塾や創業セミナーを受講、個別指導も受けました。苦労したのが販路開拓です。営業経験もありませんでしたが、とにかく人脈をつくろうとジェトロ(日本貿易振興機構)などが行うセミナーにこまめに参加し、名刺を配って回りました。そのかいあって、創業2カ月後に初めて海外進出のためのチラシ制作の仕事を得、その後少しずつ声が掛かるようになり、やがて元の職場の大手メーカーなどからも直接仕事をいただけるようになりました。
一方で、受注体制を整えるため、フリーランス翻訳者の開拓に力を入れ、また高いスキルを持つ女性が子育てしながら常勤で働けるよう時短の派遣勤務も整備しました。当初は翻訳・通訳事業が中心だった当社も、今では語学研修や人材派遣の事業を拡大しています。企業が海外事業を展開する際は、文化・習慣を含めた「相互理解」が重要です。ビジネスの機会を逸することのないよう英語力とコミュニケーションスキルを同時に学ぶ〝ハイブリッド式企業内研修〟の教材も開発中です。今後のさらなる国際化に向け、ビジネスパーソンの国際化を支援し、産業発展の一助となることを目指しています。
会社データ
社名:株式会社ブリジック
所在地:栃木県矢板市幸岡1373
電話:0287-55-0011
創業:2014年
事業概要:サービス業(翻訳・通訳、語学研修、人材派遣)
※月刊石垣2020年2月号に掲載された記事です。
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