前回は、情報セキュリティ上の守るべきものである「資産」について説明いたしました。今回は、情報セキュリティ上の守るべきもの「資産」が必ず持っている「脆弱性(ぜいじゃくせい)」について説明します。
資産には、パソコンや設備、ソフトウエア、記録媒体、人員などさまざまなものがあります。これらには必ず弱点があります。それが「脆弱性」(脆く弱い性質)です。ハードウエアでは「欠陥」、ソフトウエアでは「バグ」「セキュリティホール」などとも呼ばれます。これらは資産それぞれが持っている固有の性質であり、資産ごとに脆弱性は異なります。これらは基本的に変えることはできません。資産が持っている脆弱性を知り、適切な取り扱いと対処が必要になります。
そして、「脅威」の一つである意図的な攻撃は多くの場合、この「脆弱性」を突いてきます。例えば、使用しているソフトウエアに脆弱性が見つかり、その脆弱性を解消していなかった場合、これを狙ってさまざまな手段で攻撃者がウイルスへの感染、乗っ取りなどを試みてきます。
これらの脆弱性に対しては、OSやソフトウエアの更新(アップデート)が必要となります。たとえば、WINDOWSの場合には、Windows Updateの更新プログラム(「パッチ」とも呼ばれる)によって、それまでに発見された脆弱性に対処することができます。ただし、時間がたつと、また新たな脆弱性が発見されるため、常に更新情報を収集して、できる限り迅速にアップデートしていかなければなりません。
設定や運用上のミスなど管理が不適切で、情報セキュリティの機能が維持できなくなっている状態も「脆弱性」です。攻撃者は、このような脆弱性も狙っています。当然これらの脆弱性への対処も必要になってきます。これらは日常的な点検や監査などにより不備を見つけ、できる限り迅速に修正をしていきましょう。
このように「脆弱性」に「脅威」が付け込むことで、事故が発生し、被害や影響が及ぶのです。次回は「脆弱性」に付け込む「脅威」について説明します。
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