日本商工会議所の三村明夫会頭は1月15日、定例の記者会見で、今年の春闘について、「余裕のある企業は是非とも賃上げしてほしい」と述べた。一方、「中小企業の景況感は、大企業とは少し異なり、捉え方も違う」と指摘。「中小企業の収益率は上がってはいるものの大企業ほどではない。しかし、大企業が賃金を上げれば、労働需給がこれだけ厳しい中で、中小企業は人手不足による防衛的な賃上げという形で対応せざるを得ない。また、最低賃金も3%上げることがすでに決定されており、恐らく賃金上昇圧力は否応なく押し寄せてくる。受け身の状況であるが、これには対応せざるを得ない」との考えを表明するとともに、「生産性の向上が絶対必要だという経営者の意識につながり、実際に生産性向上につながれば」と述べ、賃上げによる前向きな変化に期待を寄せた。
また、トランプ政権発足1年を振り返り、「世界経済に悪影響を与えるような発言も多くあった。ところが、米国の株価は一貫して上昇を続け、最近、減税を発表して以降、その勢いは加速している。株価でトランプ政権を判断する限りにおいては、極めて良い結果であった。こうした矛盾した現象が表れている」と分析。「今は、全体的に反グローバリズムの動き、あるいはトランプ政権の動き、ブレグジットの影響もまだ具体的に世界経済に悪影響を及ぼす段階にはなっていない」との見解を示した。
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