マイナンバー制度導入後、マイナンバーカードを利用したさまざまなサービスが提供されています。本稿では、デジタル社会の必須ツールであり、これからますます便利になるマイナンバーカードについて、内閣府大臣官房番号制度担当室からの特別寄稿でご紹介します。
マイナンバーカードとは?
マイナンバーカードは、マイナンバーが通知された後、本人の申請により交付される顔写真付きのプラスチック製のICカードです。(図1)
カードのおもて面には、顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が記載されています。うら面にはマイナンバーが記載されており、行政機関などにマイナンバーを提供する手続きでマイナンバーの確認に使えます。また、同じくうら面にあるICチップに記録された電子証明書を使って、後述するさまざまなサービスを利用することができます。
なお、このICチップに入っているのは本人の基本的な情報(氏名・生年月日・住所など)と電子証明書であって、税や年金などのプライバシー性の高い情報は入っていません。後述する健康保険証として使う場合も、特定健診情報や薬剤情報などがICチップに記録されることはありません。加えて、ICチップから不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れる仕組みになっています。また、紛失・盗難の場合でも24時間365日体制でカードの一時利用停止を受け付けています。マイナンバーカードは安心してお使いいただけます。
マイナンバーカードの使い道は?
①本人確認書類(身分証明書)として使える!(図2)
マイナンバーカードには、おもて面に氏名・住所などに加えて顔写真が記載されていることから、携帯電話の契約やライブ会場への入場時など、対面で本人確認が必要な場面の公的な本人確認書類として使用できます。運転免許証を返納した高齢者や子どもでも本人確認書類として使うことができます。
②コンビニエンスストアで各種証明書が取得できる!
カードうら面のICチップを利用して、コンビニエンスストアのマルチコピー機で住民票の写し・印鑑登録証明書・戸籍証明書などの各種証明書を取得することができます。平日・休日問わず、毎日午前6時30分から午後11時まで利用できるので、市区町村の窓口に行くことができない人には大変便利です。さらに、お住まいの市区町村以外にあるコンビニエンスストアでも証明書は取得できます。
なお、市区町村により、取得できる証明書の種類が異なりますので、お住まいの市区町村ホームページなどでご確認ください。
③オンラインでいろいろな手続きができる!
マイナンバーカードを用いて、e-Taxによる確定申告や子育てに関する手続きを自宅のPCやスマートフォンからオンラインにより、安全・確実、迅速に行うことができます。
さらに、住宅ローン契約や証券口座開設などの民間企業のオンラインサービスでも利用することができます。
④マイナポータルが利用できる!(図3)
マイナポータルとは、政府が運営するオンラインサービスで、子育てや介護をはじめとする行政手続きのオンライン申請がワンストップできたり、行政機関などが保有する自身の情報(税情報、世帯情報、所得などの個人住民税の情報、予防接種履歴など)の確認ができたりします。一部サービスを除き、マイナポータルの利用には、マイナンバーカードが必要です。
他にも、マイナポータルの機能を活用し、他のオンラインサービスと連携したサービスも提供しています。例えば、マイナポータルを活用すると、年末調整・確定申告手続きが簡単になります。年末調整や確定申告で必要となる「保険料控除証明書」などを、マイナポータルを通じてまとめてデータで取得し、各種申告書へ自動入力することができます。自動入力の対象となる書類は、順次拡大される予定です。
⑤マイナポイントがもらえる!
本年4月末までにマイナンバーカードを申請すれば、マイナポイントがもらえます。マイナンバーカードを利用しマイナポイント事業に申し込みの上、本年9月末までに2万円のチャージまたはお買い物をした場合、上限5千円(付与率:25%)分のマイナポイントが、選んだ決済サービスのポイントとして付与されます。
マイナンバーカードはますます便利に!
①健康保険証として使える!(図4)
今年3月から、マイナンバーカードの健康保険証としてのプレ運用利用が始まっています。医療機関・薬局の受付に設置された顔認証付きカードリーダーに患者本人がマイナンバーカードを置き、カードリーダーのカメラで顔認証による本人確認を行った後、オンラインでの医療保険の資格確認を行います。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、事前に利用申し込みが必要です。マイナポータルや、セブン銀行ATMなどで申し込みができます。医療機関・薬局のカードリーダーでも利用申し込みは可能ですが、待ち時間短縮のため事前の申し込みをお願いしています。
マイナンバーカードを健康保険証として利用する場合、次のようなメリットがあります。第一に本人が同意すれば、過去の特定健診情報(特定健診情報の確認は、医療保険者によって開始時期が異なりますが、遅くとも今年10月にはできるよう準備中)や、過去に使用した薬剤情報(今年10月予定)を医療機関・薬局の医師などに共有することができ、多くの情報を基にした、より良い医療を受けることができます。これは、かかりつけ医療機関以外への急な受診時にとても役立ちます。第二にマイナンバーカードがあれば、医療機関側で高額療養費の限度額を確認することができるので、限度額適用認定証がなくても、限度額以上の支払いが免除されます。急な手術や入院の際にも安心です。第三に、就職や転職、引っ越しで医療保険が変わっても、健康保険証の発行を待たずにご自身のマイナンバーカードで引き続き医療機関の受診や薬局での受け付けができます(ただし、新しい医療保険者への資格の届け出は引き続き必要です)。
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関、薬局は順次広がっていく予定です。利用できる医療機関・薬局は、ホームページ(こちらを参照)に掲載されています。
②マイナポータルもさらに便利に!
マイナポータルがさらに便利になります。より簡単に入力でき、分かりやすい画面になるよう、国民の皆さまのご意見を取り入れながら、デザイン・機能などを一新する予定です。また閲覧できる情報も拡大します。ご自身の特定健診情報が遅くとも今年10月から(順次登録され次第)、薬剤情報が今年10月(予定)医療費通知情報が今年11月(予定)から、スマートフォンやPCでマイナポータルを利用して確認できるようになり、ご自身の健康管理に役立てることができます。また医療費通知情報については、2022年2月(予定)からe-Taxとの連携により医療費控除の申告も簡単にできるようになります。
おわりに
令和3年3月までにマイナンバーカードのさらなる利便性の向上に向けて検討が進められています。22年度中のスマートフォンへのカード機能の搭載や、24年度末までの運転免許証との一体化などの実現に向けて取り組むこととしています。(図5)
これからは、スマートフォンひとつあればさまざまな手続きがいつでもどこからでもできるようになります。
現在マイナンバーカードをお持ちでない人を対象に、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)より、マイナンバーカードの交付申請書が送付されています。交付申請書に記載されているQRコードを活用すれば、スマートフォンやタブレットなどからも申請することができます。これを機に、今後、多くの人にマイナンバーカードをお持ちいただき、これからの暮らしに便利に役立てていただければと思います。
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