本日は、日本商工会議所第132回通常会員総会にお招きいただき、誠にありがとうございます。本日は会場にお伺いすることができませんが、ビデオメッセージの形でごあいさつさせていただきます。
日本商工会議所の三村会頭には、日頃から経済産業行政に多大なるご協力をいただき、さらにこの1年はテレワークの促進や時差通勤をはじめとする、新しい働き方に向けてもお力添えをいただいておりますこと、ここで改めて感謝申しあげます。
新型コロナウイルスとの闘いが始まって、1年以上が過ぎました。見えないウイルスと闘うため、私たちは今もなお、接触の回避や移動の自粛を余儀なくされています。この未曽有の危機を乗り越えるため、今こそ「新たな日常」に向け、生活様式のみならず、産業構造や社会システムを一気に転換していかなければなりません。ウィズコロナ・ポストコロナの時代に向けて、グリーン社会の実現、デジタル改革を強力に推進してまいります。
グリーン社会の実現は、わが国経済に大きなインパクトを与えます。今後、洋上風力、水素、アンモニア、蓄電池、カーボンリサイクルなどの重点分野の研究開発や設備投資を進めることで、2030年には年額90兆円の経済効果が見込まれます。
2030年、2050年に向けた長期戦略について政府一体となって具体化を進めることで、わが国の強みである先端技術分野などで国際社会をリードし、脱炭素社会を実現してまいります。
グリーン成長を支えるのは、デジタル技術を効果的に活用する社会であり、「グリーン」と「デジタル」は、車の両輪である。このような考えの下、異なる事業や分野の、システムやデータをつなぐための技術標準の策定や、AI・ロボット・ドローンなどデジタル社会を支える技術の開発研究をはじめとした「デジタル改革」にも取り組んでまいります。
こうした「グリーン成長」や、「デジタル改革」には、わが国の屋台骨である中小企業の皆さまの技術力が不可欠であり、また、それを生かすチャンスでもあります。
目下、新型コロナウイルスの拡大に伴い、中小・小規模事業者の皆さまは歴史的な困難に直面しておられます。経済産業省としても、事業と雇用を何としても守り抜くとの決意の下、持続化給付金や家賃支援給付金などのあらゆる手段を用いて対応してきました。
直近では、3月8日から、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や、不要不急の外出・移動の自粛により、売り上げが50%以上減少した事業者の皆さまに対する、一時支援金の申請受け付けを開始したところです。
引き続き、できる限り多くの事業者の皆さまに申請いただけるよう、事業者の立場に立った情報発信やサポートを行ってまいります。
感染症の影響が長期化する中で、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に向けてビジネスモデルや事業を再構築していくことが重要な課題となっています。そこで、総額1・1兆円の事業再構築補助金を創設しました。新分野展開や業態転換などを目指す中堅・中小企業に対して最大1億円の補助を行います。
同時に、人手不足や高齢化といった構造変化に加え、働き方改革や社会保険の適用拡大といった制度変更など、相次ぐさまざまな課題への対応も迫られていると承知しています。このため、円滑な事業承継やM&A、生産性向上のための設備投資を支援してまいります。
また、しわ寄せ防止などの下請取引の適正化にも取り組んでまいります。現在、「パートナーシップ構築宣言」は1000社を超える企業に宣言いただいており、2021年度中に2000社の宣言を目指します。そして、本宣言のさらなる周知・啓発に向けて、日本商工会議所の皆さまにはプロモーションビデオを制作いただくなど、大変ご尽力いただいているところであります。
今年度は、商工会議所が小規模事業者の経営を支援する「経営改善普及事業」が発足して60年の節目の年となります。本日この「経営改善普及事業発足60周年記念表彰」を受賞される皆さまに対しまして、心より祝意を表したいと思います。
今回の表彰では、多くの経営指導員の能力向上支援、災害からの復旧・復興活動や、海外市場の開拓など、従来の経営指導の枠を超えて著しい功績を上げられた方も含めて、優良経営指導員として大臣表彰を授与させていただきます。
こうした皆さまの長年にわたるご尽力は、個々の事業者の経営改善にとどまらず、地域経済全体の活力維持、発展に多大なる貢献があったものと認識しております。
同じく本日表彰させていただく優良商工会議所の関係者、役職員功労者の皆さまも含めまして、これまでのご尽力に感謝申しあげますとともに、今後とも先頭に立って地域経済を盛り上げていただくことを期待しております。
本来であれば、私から直接表彰状をお渡ししたいところですが、本日はこのあいさつをもって、表彰状の授与に代えさせていただきます。
新型コロナウイルスとの闘いが続く中、今後の経済成長に向け、私たちは経済社会活動と新型コロナウイルスの感染拡大防止を両輪として、考えていかなければなりません。
こうした難しい局面において、全国にネットワークを持つ商工会議所の皆さまと経済産業省との緊密な連携は、これまで以上に必要不可欠なものとなっております。
最後に、日本商工会議所および各商工会議所のさらなるご発展と、本日ご臨席の皆さまのご健勝を祈念して、私のあいさつとさせていただきます。
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