政府は5月17日、首相官邸で、第10回成長戦略会議を開催し、事業再構築・事業再生、上場制度・コーポレートガバナンスの在り方、今年度の成長戦略の取りまとめの方向性などについて意見交換を行った。
会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、事業再構築の支援策について、「事業再構築補助金への期待が極めて高い中、売上構成比要件などが壁になっているとの声が商工会議所の経営指導員から寄せられている」と述べ、積極的な活用を促すために、対象要件の緩和などが必要との考え方を示した。
事業再生については、「過剰債務を抱えた中小企業の事業再生の本格化に備え、法的整理よりも事業価値の毀損(きそん)度合いが少ない私的整理など、円滑な事業再生を可能とする環境整備が急務」との考えを表明し、速やかな「中小企業版の私的整理ガイドライン」の策定を主張。検討の際には、「コロナ禍のような経営者の責任でない部分や、事業再生などによる地域経済への波及効果を経済合理性の中でどう勘案するか、などについての考え方の整理が重要」と付け加えた。
また、円滑な事業再生に向けて、金融機関と中小企業双方の早期の決断が不可欠との考えを表明。「金融機関の側には、地域経済や雇用への影響も勘案し、積極的な再生支援を行っていただき、中小企業の側には、問題を先送りせず早期に事業再生などを決断することが求められる」との考えを示した。
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