帯広商工会議所(北海道)は、同所の創立100周年を記念して、地元のおびひろ動物園に2021年のえとでもあるウシ科のアメリカバイソン2頭を4月29日に寄贈した。同所と動物園は、昨年9月に観光戦略づくりなどで意見交換。地域の魅力向上に向けた連携強化に乗り出している。
同所の観光サービス部会と動物園は、昨年9月に「民間視点での観光戦略づくり並びに連携構築に向けたおびひろ動物園との懇談会」を初めて開催。動物園が市の貴重な観光資源であることに着目し、園内の視察や現況の意見交換を行うなど、帯広の観光振興に力を入れている。今回の記念事業でさらに結び付きが強まり、観光分野での連携強化につながる可能性もある。
動物園へは、2頭のバイソンのほか解説パネルも寄贈。パネルでは、北米に生息していた約6千万頭のバイソンが、大規模な乱獲により急速に減少したことなどの経緯が説明されている。このような歴史を踏まえ同所は、「地球上には、今まさに絶滅の危機にある動物たちがいる。私たち人間は、バイソンの歴史から学んでいかなければならない」と記載し、動物の大切さを周知するものとした。
園内で行われたセレモニーでは同所の川田章博会頭が「バイソンは乱獲で絶滅寸前となった歴史がある。北アメリカの大地を想像してもらうとともに、野生動物を大切にする子どもが成長してほしい」とあいさつした。
動物園では、多いときで8頭のバイソンを飼育していたが、今年1月に最後の一頭だった雄の「ステッファー」の死によりバイソン舎は主が不在となっていた。セレモニー当日は、道内唯一のバイソンを一目見ようと多くの地元客でにぎわった。
同園は、寄贈された2頭の愛称を募集し、1590件の応募の中から雄が「グラン」、雌が「サクラコ」に決定。6月27日に開催予定のアメリカバイソン寄贈記念講演会で、名付け親になった人を表彰する。
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