国土交通省はこのほど、2021(令和3)年版「土地白書」を公表した。白書は「土地に関する動向」および「政府が講じた基本的な施策」「今後講じようとする基本的な施策」の3部構成。「土地に関する動向」では、20年度の不動産市場の動向、新型コロナウイルス感染症による不動産市場への影響と対応、防災・減災に対応した土地活用、東日本大震災の復旧・復興の取り組みなどを分析している。
白書では、20年度の不動産市場について21年1月1日時点の全国の地価動向などから分析。全用途平均は6年ぶりの下落となり、住宅地は5年ぶり、商業地は7年ぶりの下落。三大都市圏では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも8年ぶりの下落となり、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では上昇を継続したが上昇率は縮小した。
不動産取引時の参考情報に対する国民の意識については、「周辺の公共施設などの立地状況・学区情報」(62・1%)、「ハザードマップなどの災害に関する情報」(41・5%)の順で多くなっており、ハザードマップへの関心の高まりは、取引にも、影響を与える結果となっている(グラフ)。また、「ハザードマップなどの災害に関する情報」を参考にしたとの回答者に、そう思う理由として、近年の災害の発生状況は影響しているかを聞いたところ、「影響している」との回答が89・7%、「影響していない」の回答は7・6%となっている。
また、コロナ禍の不動産市場などへの影響を踏まえた対応として実施した主な支援制度についても解説。固定資産税の負担調整措置については、21年度から23年度までの間、下落修正措置を含め、土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する措置を講じた。その上で、21年度に限り、負担調整措置などにより税額が増加する土地について前年度の税額に据え置く決定をしている。
そのほか、飲食店などを支援するため、店舗の軒先に飲食スペースや物販スペースを設置できるよう道路占用許可基準を緩和した措置や「不動産業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」で非対面で内見できるVR(仮想現実)の活用などの取り組みも掲載。土地利用の変化、非対面・非接触ニーズの高まり、不動産業界のDX推進、テレワークによるオフィスの集約・統合、公共空間のテレワーク利用など働く場所や商取引の変化に対応した各種支援制度を紹介している。
防災・減災に対応した土地などの活用に向けた動きについては、近年の自然災害発生状況を踏まえて、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)、不動産取引時にハザードマップなどによる情報提供(宅建業法施行規則の一部改正)など、国や地方公共団体、民間による取り組みについて解説。
東日本大震災の復旧・復興の取り組みについては、被災地の土地利用について、にぎわい拠点の創出、ロボット・ドローンに関する産業の集積、地下に耐震性貯水槽を整備したスタジアムの整備などの事例を紹介している。
詳細は、https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo02_hh_000001_00014.htmlを参照。
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