日本商工会議所は9月16日、第133回通常会員総会をオンライン形式で開催し、全国515の全ての商工会議所から会頭・副会頭ら約1000人が出席した。総会の冒頭にあいさつした日商の三村会頭は、ワクチン効果を踏まえた今後の社会経済活動について、「国民や事業者が将来に希望を持てる、具体的な出口戦略が必要」と指摘し、科学的根拠に基づいた「攻めの感染対策」の必要性を強調。また、今後の国の在り方について、「社会経済課題を解決すると同時に経済成長を実現することで、日本が再度強い豊かな国に生まれ変わらなければならない」との考えを示した。
三村会頭はあいさつで、足元の経済状況について、「力強い回復の動きには至っていない」と述べるとともに、業種により回復の度合いの大きく異なる「K字型回復」が特徴と指摘。政府に対し、困窮する事業者への金融支援などの継続と拡充、迅速な執行を強く求める考えを示した。
また、感染防止と経済活動の両立に向け、ワクチン効果を踏まえた経済活動レベルの引き上げについては、「ワクチン接種証明や抗原検査キットなどの活用とともに、感染対策を徹底する事業者には営業規制を緩和するなどのインセンティブ施策が有効」と強調。科学的根拠に基づいたメリハリのある「攻めの感染対策」の必要性を強調した。
全国191商工会議所で実施している共同接種などの取り組みについて「ワクチン接種という社会課題克服に向けた商工会議所らしい事業であり、事業者や住民にも大変喜ばれている」と高く評価。各地商工会議所の尽力に謝意を示した。
ポストコロナに向けた日本の方向性については、「社会経済課題の解決と同時に経済成長を実現することで、日本が再度強い豊かな国に生まれ変わらなければならない」と強調。「S+3E」というエネルギー政策の大原則を守りつつカーボンニュートラルを目指すことや、経済安全保障、ワクチン・治療薬の国産化などの課題を指摘。「コロナで明らかになった課題解決と経済成長を同時に実現するための自己変革にも、同時に踏み出すべき」と述べた。また、ポストコロナに向けた商工会議所の役割については、「デジタル活用による生産性向上」「事業再構築、取引適正化などを通じた付加価値の向上」「地域ぐるみの地方創生の推進」の3点の重要性を強調した。
総会では、菅義偉内閣総理大臣、梶山弘志経済産業大臣からビデオメッセージが寄せられた。菅総理大臣は、休業、時短の要請、テレワークの徹底、ワクチン接種などについて商工会議所と会員企業における協力に感謝の意を表明。早期にコロナ禍を克服し、「社会経済活動の正常化の道筋をつけていく」との決意を示した。
厳しい状況に置かれている事業者への支援については「事業と雇用を守るために万全を期す」と強調。競争力強化に取り組む企業や新事業に挑戦する企業への支援とともに、取引適正化の推進を表明した。
また、自由民主党の二階俊博幹事長、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、日本維新の会の片山虎之助共同代表が来賓としてあいさつ。公明党の山口那津男代表はビデオで祝辞を述べた。総会議事では、「2020年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。
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