日商・東商調査 「多様な人材の活躍に関する調査」特集 人手不足、徐々に増加 建設、運輸で6割超

人手不足の状況(全体集計)

日本・東京商工会議所はこのほど、「多様な人材の活躍に関する調査」の集計結果を発表した。「人手が不足している」と回答した企業は49・9%と前年同時期の調査から13・5ポイント増加。コロナ前の2019年調査の水準(66・4%)には達していないものの、徐々に人手不足状態に戻りつつある結果となっている。

調査概要

調査は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による雇用・就業環境の変化を踏まえ、人手不足の状況やコロナ収束後を見据えて推進すべき働き方、多様な人材の活躍に関する状況を把握することなどを目的に実施。コロナ禍の中の人手不足の状況、女性の活躍推進、外国人材の受け入れ、障がい者雇用について中小企業における現状を調査している。

調査対象は全国の中小企業6007社で、421商工会議所の職員によるヒアリング(対面・非対面)などにより、3123社から回答(回答率=52・0%)を得た。調査期間は2021年7月26日~8月17日。

人手不足感

コロナの影響 色濃く

「若年者」採用 増やすは66・3%

中小企業の人員の過不足について、「人手が不足している」と回答した企業の割合は、2016年の55.6%から毎年増加し、コロナ前の19年には66・4%に達した。しかし、新型コロナ感染拡大の影響で20年7~8月期には36・4%にまで減少。その後、44・4%(21年2月調査)、49・9%(今回調査)と回答割合が徐々に増えているものの、コロナ前の水準にまでは至っていない。

業種別で見ると、「建設業」(65・4%)、「運輸業」(63・0%)、「介護・看護業」(62・7%)などで人手不足と回答した企業の割合が高い。従業員規模で見ると、規模が大きいほど、人手不足感が強い傾向にある。

人材ごとの今後3年程度にわたる採用数について、「人数を増やす」と回答した企業の割合が最も高いのは「若年者」で66・3%。「女性」は40・7%で、いずれも前年調査を上回った。一方、「障がい者」「外国人」「高齢者」については、「人数を増やす」と回答した企業の割合が10%台にとどまっている。

「柔軟な働き方」 推進すべき32.1%

コロナ収束後を見据えて「政府が要件・規制を緩和すべき働き方、推進すべき取り組み」については、フレックスタイム制や裁量労働制など、「時間にとらわれない柔軟な働き方」(32・1%)を挙げる企業が最も多く、次いで、「解雇に係る法制・規制の緩和」(21・5%)、「IoTやAI、RPAの活用」(20・4%)などとなった。

女性の活躍

8割超の企業で推進

課題は「女性の管理職・役員比率が低い」

○「女性の活躍を推進している」と回答した企業は80・5%に達するが、うち半数以上の企業が「課題がある」と回答。その内容としては、「女性の管理職・役員比率が低い(向上しない)」(44・7%)が最も多く、その他、採用、育成、定着など多岐にわたる。

○課題の要因として最も多くの企業が挙げたのは、「女性社員が現状以上に活躍したいと思っていない」(49・1%)。次いで「ロールモデルとなる女性社員が少ない」(42・2%)、「家事・育児の負担が女性に集中」(40・3%)、「税・社会保険負担(106万円、130万円の壁など)が障壁となり、就業調整を意識する女性社員が多い」(36・6%)などとなった。

○女性の活躍推進により期待する効果については、「社員のモチベーション向上」(49・6%)が最多。次いで、「女性のみならず、社員全体の定着」(48・2%)、「女性のみならず、新規社員の採用促進(採用力の向上)」(40・6%)の順で多くなっている。

○「改正女性活躍推進法」について、「名称・内容ともに知っている」と回答した企業の割合は21・7%。2022年4月より一般事業主行動計画の策定が義務付けられる従業員数101人以上300人以下の企業においても、「名称・内容ともに知っている」企業の割合は54・5%にとどまる。

男性の育児休業取得代替要員確保に課題

○男性の育児休業取得のための新たな枠組みの創設などが盛り込まれた「改正育児・介護休業法」について、「名称・内容ともに知っている」と回答した企業の割合は42・2%だった。従業員規模別で見ると、規模の小さい企業において「名称・内容ともに知っている」と回答した企業の割合が低い傾向にある。

○男性の育児休業取得促進については、「人員に余裕がなく、既存社員による代替が困難」(56・7%)、「専門業務や属人的な業務が多く、対応できる代替要員がいない」(38・2%)など、代替要員の確保に課題を抱えている企業が多い。

外国人材の受け入れ

コロナ禍でも増加

「特定技能外国人」 関心ある47・9%

○「外国人材を既に受け入れている」と回答した企業は25・6%。前年調査から2・1ポイント増と、コロナ禍が続く中でもわずかに増加。「今後受け入れる予定」「検討中」は合わせて21・3%と前年調査から3・9ポイント減少したが、宿泊・飲食(34・8%)、介護・看護(33・9%)ではニーズ高い。

○これらの企業のうち、「特定技能外国人を雇用しており、今後も受け入れたい」とする企業は18・3%と前年調査より5ポイント増加。また、「特定技能外国人の受け入れに関心がある」と回答した企業は47・9%。前年調査から8・2ポイント減少も、コロナ禍で受け入れ数が伸び悩む中、企業の同制度に対する関心は依然高い。

○特定技能外国人の受け入れに係る課題として、「新型コロナウイルス感染症の影響で入国できない」(32・9%)のほか、外部要因では「費用負担が過大」(33・1%)、「手続きがよく分からない」(30・7%)、内部要因では「採用ノウハウがない」(28・4%)、「転職可能な在留資格のため、自社に定着するか不安」(24・0%)などを挙げる企業が多い。

障がい者雇用

法定雇用率達成は5割

業務の切り出し、ノウハウ不足が課題

○障がい者雇用の状況(2021年6月1日時点)では、法定雇用の義務がある企業のうち、法定雇用率を満たしていない企業は50・9%と半数を超える。

○障がい者を雇用する上での課題として、「自社の業務に合った障がい者を採用できない」(36・5%)、「障害特性を踏まえた配慮など受け入れのノウハウが不足」(33・2%)、「障害者が行う業務の切り出し、設定が困難」(31・4%)に加え、障がい者の就労をサポートするマンパワーや施設・ハード面の整備を挙げる企業が多い。