経済産業省はこのほど、総合資源エネルギー調査会の電力・ガス基本政策小委員会が取りまとめた「2021年度冬季の需給見通し・対策」を公表した。全国10エリア全てで安定供給確保が見込める見通しだが厳しい状況として、産業界へ省エネルギー対策や緊急時における柔軟な対応への協力を要請。一般家庭にも、無理のない範囲での省エネ対応を求めている。
この冬の電力需給は、10年に1度の厳しい寒さを想定した場合にも、全国10エリア全てで安定供給に必要な予備率3%を何とか確保できる見通しとなっているものの、東京エリアは1月に3・2%、2月に3・1%とギリギリの状況。特に、2月は中部、北陸、関西、中国、四国、九州の6エリアでも3%台の予備率になる見通しで、過去10年間で最も厳しい状況となっている。経産省では、世界的に燃料・電力を取り巻く状況が厳しさを増していることも踏まえ、状況の推移をきめ細かにモニタリングしつつ、需給両面で対策を強化することにしている。
具体的には、発電事業者に対して、保安管理の徹底や、計画外停止の未然防止を要請。火力発電設備を保有する発電事業者に対しても、燃料確保を呼び掛ける。産業界に対しては、省エネや緊急時における柔軟な対応への協力を要請するとともに、家庭など一般需要家に対しては、「無理のない範囲での効率的な電力の使用(省エネ)」への協力を求める。
萩生田経済産業相は、10月26日の記者会見で、この冬の電力需給について「安定供給に必要な供給力はかろうじて確保できるものの、かなり厳しい見通しとなっている」と危機感を表明。「電力の安定供給の確保に万全を期すため、官民で電力の安定供給に向けて対応する」と述べた。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211027003/20211027003.htmlを参照。
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