YEG STORY ~我ら礎。共に創ろう、継ぎ、紡ぎ、繋げる、未来への道導~
2022年度日本YEG会長 西村 昭宏(にしむら・あきひろ)
会長所信
YEGは今、大きな節目を迎えています。全国の単会の多くが会員数の減少傾向にあり、日本YEG全体としては増加傾向にあった全国会員数も数年前から減少傾向に転じています。また、コロナ禍の中、YEG活動の根幹である交流の在り方さえも変化を余儀なくされ、地域のにぎわいづくりをはじめとする地域活性化事業などは、持続すること自体が困難になり、これから先のYEG活動の未来像を描けずにいる、こうした地域が、ほとんどなのかもしれません。
また、私たちのビジネスが向かう方向性は、グローバル資本主義による経済成長に陰りが見え始めたことから「グローバリズム」のデメリットを改めつつ、「ローカリズム」との融合に取り組み始めました。そしてビジネスにおける価値基準は、社会課題の克服への貢献や地球規模での持続可能性の追求を目標とする「SDGs」や、物理的価値の提供から人として生きる豊かな価値の提供「Well-being(ウェルビーイング)」へと進み始め、新型コロナウイルスのパンデミックは図らずもこのビジネスの方向性と価値基準の変化を急加速させました。
日本商工会議所第十九代三村明夫会頭も「これまでの経済効率最優先から社会課題の解決と経済成長の両立を目指す時期に来た」と言及されており、これは経済効率優先だった一極集中の「都市集中型社会」から、地域の中で資源や資本を分配し雇用を生み出し経済を循環させる「地方分散型社会」へと向かうことが加速されることも意味しています。
また、これまで以上に地域の個性や地域資源の強みを生かした地方創生の戦略と取り組みの重要性が増すことになり、ひいては、地域特性に応じた新たな価値を生み出すことができる人材を各地域で育てることができるのかが、地域発展の命運を分けることにもつながるのです。
私たちが所属するYEGは、「次代の地域経済を担う後継者の相互研鑽(けんさん)の場として、また青年経済人として資質向上と会員相互の交流を通じ自企業の発展と豊かな地域経済社会を築くこと」を目的に、全国各地の商工会議所に設置されています。
つまり次代が求める担いは、私たちYEGの存在意義そのものであり、コロナ禍はもちろんパンデミック後の地域の豊かな未来を創造する中心的役割を担うのは、私たちYEGにほかならないと思うのです。全国のYEGは度重なる自然災害も世界的な未曽有の危機にも自企業のため地域のために歩みを止めず活動を続けてきました。全国のYEGメンバー無くして地域の未来はありません。地域の輝く未来をつくることが、私たちYEGに求められている役割なのです。
日本YEGもまた、大きな節目を迎えています。日本YEGはこれまで着実に成長し発展してきました。このコロナ禍においても、日本YEGへの出向者数は増加を続け、求められる役割や活動の質と量も年々増していくばかりです。これは先行き不透明な今だからこそ「地域のYEG活動の課題解決」や「地域のYEG活動の支え」となることへの期待の表れであり、活動が困難な今こそ「YEG活動の新しい在り方」を模索し示すことが、日本YEGの役割であると考えます。
2022年度は、「日本YEG中期ビジョン 2018-2022」の最終年度であります。日本YEG中期ビジョンの集大成の年度を迎えるに当たり、私たち日本YEGは、全ての活動において生産性と付加価値の向上に積極的に取り組み、「YEG活動の新しい在り方」を追求します。そして、総会・会議体・各種大会の運営から広報ブランディング、研修、国際、ビジネス・組織活性化活動、政策提言、ビジョン策定など、日本YEGだからこそできる「単会活動の支え」となる魅力ある事業を提供してまいります。
また本年度は、日本商工会議所100周年であり、日本YEGも40周年を迎える記念すべき節目の年になります。この節目の年だからこそ、これまでの日本YEGの活動をしっかりと振り返り検証いたします。そして、日本YEGの存在意義、所属する意義とは何か? 私たちの幸せな未来とは何か? を語り合いながら、全国のメンバーとともに日本YEGの目指すべき「未来への道導(みちしるべ)」となる新たな日本YEG中期ビジョンをつくり上げてまいります。
全国の先輩諸賢が礎となり日本YEGの連帯の証を、継ぎ、紡ぎ、つないできたからこそ、今日の日本YEGの「確かな礎」があります。40周年を迎える私たちもまた礎となり、次代へと継ぎ、紡ぎ、つなげてまいりましょう!
地域の輝く未来をつくるのは、私たちです。
希望あふれる未来へと続く、新たなYEGの物語「YEG STORY」が今、始まります。
YEG CONNECT
PROFILE
全国各地で地域の未来のために励むYEGメンバーを紹介するコーナー。初回は、高鍋YEGの黒木敏史さん。麦焼酎「百年の孤独」などを展開している黒木本店グループの取り組みについて伺いました。
―YEGへの入会のきっかけと良かったことを聞かせてください。
当時の単会会長に誘われ入会しました。良かったことは、地域はもちろん、出向を通じて九州、全国各地に仲間ができ、その人たちとの出会いを通じて自分自身が磨かれたと強く感じていることですね。
―御社が取り組んでいる自然循環農法について教えてください。
黒木本店、尾鈴山蒸留所で酒類を製造する工程で発生する廃棄物を有機肥料化したものを農地に生かし、栽培した芋、大麦、こうじ用米酒類製造の原料とする循環型農業です。その土地の風土を醸す魅力あるものづくりにおいては、この循環型という考え方や生き方が大切だと考えており、宮崎児湯の豊かな自然に恵まれたこの地の価値を最大限に発揮することで、地域の魅力の一つの形になるとともに、持続可能な社会の実現に貢献できると信じています。
―今後の取り組みや、目標などをお聞かせください。
最近取り組み始めたことですが、クレソンやホウレンソウなど青果物の栽培、干し芋などの加工品にもチャレンジしています。循環型農業をさらに発展させる中で、エネルギーや環境面においてもより配慮しながら農地を守り育て、豊かな食文化の発展に少しでも貢献し、次世代につなげていきたいですね。
―最後に全国のYEGメンバーへメッセージをお願いします。
それぞれの地域で活躍して、次世代をより豊かな社会にしましょう。YEG活動を通じて会えることを楽しみにしています。
取材 ・ 写真撮影:日本商工会議所青年部(日本YEG) 広報ブランディング委員会
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