最低賃金に関する要望(全文)
2022年4月21日 日本商工会議所 全国商工会連合会 全国中小企業団体中央会
コロナ禍の長期化に資源価格や原材料費の高騰も相まって、わが国の経済情勢は力強い回復に至らず、先行きも予断を許さない。企業業績は「K字型」の回復を示し、業績が好調な企業には賃上げや将来への投資が期待される一方、コロナ禍の影響を強く受けてきた飲食業、宿泊業などにおいては依然として厳しい業況の企業が多く、事業の継続と雇用の維持に対する支援が求められる。
こうした状況の中、「成長と分配の好循環」を実現するには、生産性向上や取引適正化を通じた企業による自発的な賃上げの促進が不可欠である。政府による「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」をはじめとした取り組みの粘り強い継続と実効性の強化により、多くの企業の賃上げにつながることが必要である。
最低賃金は近年3%台の大幅な引き上げが続き、多くの中小企業・小規模事業者から、経営実態を十分に考慮した審議が行われていないとの声が聞かれている。最低賃金は、法が定める三要素(生計費、賃金、支払い能力)に基づき、中央・地方の最低賃金審議会における公労使の議論によって決定されるものであり、労働者のセーフティネット保障として全ての企業に強制力を持って適用されることから、最低賃金の引き上げを賃上げ政策実現の手段として用いることは適切でない。
こうした認識の下、われわれ中小企業三団体は今年度の最低賃金審議に当たり、政府に対して下記を強く要望する。
記
① 最低賃金が目指す水準などについて政府方針を示す場合には、その決定に際し、労使双方の代表が意見を述べる機会を設定し、経済情勢や賃上げの状況などを十分に反映したものとすべきである。
② 最低賃金の審議においては、中小企業・小規模事業者の経営実態を十分に考慮するとともに、法が定める三要素(生計費、賃金、支払い能力)に基づき、各種指標・データによる明確な根拠の下で納得感のある水準を決定すべきである。
最低賃金に関する要望(要望項目抜粋)
2022年4月21日 日本商工会議所 東京商工会議所
1.労使代表参加の下、中小企業の経営実態を反映した政府方針の決定を
2.明確な根拠の下で納得感のある水準の決定を
3.中小企業が自発的に賃上げできる環境整備に向けた取り組みの推進を
4.地域の経済実態に基づいたランク制の堅持を
5.改定後の最低賃金に対応するための十分な準備期間の確保を
6.特定最低賃金の廃止に向けた検討を
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