日本商工会議所は4月25日、山口壯環境大臣との意見交換会を都内で開催した。会議の冒頭、山口環境相は、「企業と一緒に全国に『脱炭素ドミノ』を起こしたい。カーボンニュートラル実現に向けたグランドデザインを描き、全体像・道筋を提示していく」との考えを表明。三村明夫会頭は、「脱炭素社会へスムーズに移行するためには、あらゆるエネルギー源を活用していくことが不可欠」と強調した。
会合には、日商側は三村会頭、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、広瀬道明特別顧問(東京・副会頭)、石田徹専務理事のほか、地方から古手川保正会頭(津久見)、伊藤光男会頭(川口)、清瀧誠司会頭(福江)ら8人が出席。環境省からは、山口大臣のほか、務台俊介副大臣、穂坂泰大臣政務官、中川康洋大臣政務官ら幹部9人が出席し、意見交換を行った。
三村会頭は、脱炭素社会の実現に向け、「経済と環境の両立」「脱炭素化にかかるコストを踏まえた現実的な議論」「脱炭素社会の全体像と実現への道筋の提示」の重要性を強調。「こうした取り組みの上で初めて、脱炭素時代の地域づくりも可能になる」と述べた。
脱炭素社会への移行に向けては、「革新的技術開発の推進や再生可能エネルギーの拡大とともに、その過程において、あらゆるエネルギー源を活用していくことが不可欠。資源を持たないわが国においては、原子力発電の活用が不可欠であり、早期再稼働、新増設・リプレースが進むことを強く期待する」と強調。「カーボンニュートラルに向けた動きは、過去20年にわたるわが国の停滞を打ち破る大きなきっかけにもなり得る」と述べ、これからは「理論の脱炭素」から「実行する脱炭素」の段階になるとの見方を示した。
山口大臣は、「全国の産業界との意見交換を基にカーボンニュートラル実現に向けたグランドデザインを描き、全体像・道筋を提示していく」との考えを表明。炭素税などカーボンプライシングについては、「排出量取引・クレジット取引などの手法も合わせ、大規模な支援も含め、グランドデザインの中で考えていきたい」と述べた。また、CO2排出量の把握や人材育成などの分野で、「商工会議所と環境省の連携を深めていきたい」と述べた。
最新号を紙面で読める!