経済産業省はこのほど、2021年度の電子商取引(EC)に関する市場調査結果を公表した。同調査は、1998年度から毎年実施しているもので、国内EC市場の動向や利用者実態、また越境ECの消費者向け市場動向(日本、米国および中国相互間)も調査している。今回の調査では、21年度の国内EC市場規模は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が強まる前の2019年における市場規模を超したと評価している。
21年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20・7兆円(前年19・3兆円、前々年19・4兆円、前年比7・35%増)に拡大(図1)。また、20年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372・7兆円(前年334・9兆円、前々年353・0兆円、前年比11・3%増)に増加している。
20年には新型コロナウイルス感染症拡大の対策として、外出自粛を呼び掛け、また、ECの利用が推奨された結果、物販系分野の大幅な市場規模拡大につながった。一方、主として旅行サービスの縮小に伴い、サービス系分野の市場規模が大幅に減少。その結果、物販系分野の大幅な伸長分とサービス系分野の大幅な減少分が相殺され、20年の日本国内BtoC-EC市場規模全体としては、前年より830億円の減少となっている。
物販系分野のBtoC-EC市場規模の内訳を見ると、「食品、飲料、酒類」(2兆5199億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器など」(2兆4584億円)、「衣類・服装雑貨など」(2兆4279億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆2752億円)の上位4カテゴリーの割合が大きく、物販系分野の73%を占める。EC化率については、「書籍、映像・音楽ソフト」(46・20%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」(38・13%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(28・25%)などが高くなっている。
また、サービス系分野では、「旅行サービス」(1兆4003億円)、デジタル系分野では、「オンラインゲーム」(1兆6127億円)が大きな割合を占めている。
21年の日本・米国・中国の3カ国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加。中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆1382億円(前年比9・7%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆5783億円(前年比11・5%増)となり、昨年に続き増加した(図2)。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.htmlを参照。
最新号を紙面で読める!