政府は1日、2022年度冬季の電力需給が厳しい状況にあることを踏まえ、電力需給に関する検討会合を開催し、「2022年度冬季の電力需給対策」を決定した。今年度の冬季の電力需給見通しは、10年に一度の厳寒を想定した需要に対して安定供給に最低限必要な予備率3%を確保。今年6月時点の予測では、東京エリアでマイナスになるなど、電力需給が極めて厳しい状況になると見込まれていたが、その後、発電所のトラブルからの早期復旧や電源の補修計画の変更、電源募集の実施などの対策を講じたことが功を奏した。
政府は、予備率3%を確保することはできたものの「1月の東北・東京エリアでは4・1%となるなど、依然として厳しい見通しであり、大規模な電源脱落や想定外の気温の低下による需要増に伴う供給力不足のリスクへの対策が不可欠」と指摘し、リスク要因として「想定を超える電力需要の増加」と「燃料の調達リスク」の2点を提示。燃料の調達リスクについては、LNGなどの価格高騰や、資源国における設備トラブルなどにより、燃料が安定的に確保できないリスクが引き続き高いとの見方を示している。
具体的な供給対策としては、「電源募集による休止電源の稼働」「追加的な燃料調達募集の実施による予備的な燃料の確保」「発電所の計画外停止の未然防止などの徹底による安定的な電力供給」「再エネ、原子力などの非化石電源の最大限の活用」などの対策を実施。需要対策については、「無理のない範囲での節電の協力の呼び掛け」「省エネ対策の強化」「対価支払型ディマンド・リスポンス(DR)の普及拡大」「産業界、自治体などと連携した節電体制の構築」「需給ひっ迫警報などの国からの節電要請の高度化」「セーフティネットとしての計画停電の準備」などの取り組みを進める。
また、今後の供給力の維持・拡大に向けて発電所の積極的な維持・活用や、新規投資の拡大を促すための制度的な構築の検討を推進。地域間連系線の整備については、2027年度中の整備を計画している北海道~本州間、東北~東京間、周波数変換設備の増強について、着実な整備を進めることも明記した。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2022/11/20221101003/20221101003.htmlを参照。
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