政府は11月29日、首相官邸で第4回GX実行会議(議長・岸田文雄首相)を開催し、GX実現のため具体的政策について意見交換を行った。会合では、成長志向型カーボンプライシング(CP)について、基本原則や制度的な仕組みの原案を提示。岸田首相は、次回取りまとめるロードマップで分野別投資促進策を示すよう指示した。
会合では、西村康稔GX実行推進担当相(経産相)からGXを実現するための政策イニシアティブの具体化について、「成長志向型カーボンプライシング構想」「規制・支援一体型投資促進策」「新たな金融手法の活用」「アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略」「『公正な移行』や中堅・中小企業に係る取り組み」「今後10年を見据えたロードマップの全体像」などの論点ごとに説明。中堅・中小企業のGXに向けた方向性については、「わが国の雇用の約7割を支える中小企業は、日本全体のGHG排出量のうち1割~2割弱(1・2億トン~2・5億トン)を占め、目標実現には中小企業も含めた日本全体での取り組みが必要不可欠」との認識を示し、各企業の排出量や排出削減の取り組みの状況に応じて、「排出量の見える化、設備投資促進、支援機関からの『プッシュ型』の働きかけ、グリーン製品市場創出などの施策による後押し」の必要性などを指摘している。
会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、炭素に対する賦課金、GXリーグ(排出量取引)に関して、「段階的かつGXに取り組む期間を設けた上で導入する」との考え方に「賛同する」と表明。導入までの期間に中小企業も含め、広く行動変容を促すためには、「『具体的な仕組み』『トータルの負担見通し』『排出削減に取り組む企業への支援策』などの全体像と導入に至るまでの道筋を明確にした上で、前広かつ丁寧に周知を図ることが重要」と述べた。
また、GXリーグの排出量取引において、下請けの中小企業に過度な負担が強いられないように要請。中堅・中小企業のGXに向けた支援については、金融機関や商工会議所などの人材と、技術面での指導ができる人材が連携・協力して支援していく体制の構築を求めた。
岸田首相は、成長志向型カーボンプライシングについて、具体的な開始の時期や、新たな国債となる「GX経済移行債」による支援資金の確保や償還のスケジュール、どのような取り組みを支援するかなどの制度案とともに、「これまでのエネルギー政策の遅滞を率直に総括し、脱炭素目標に向けた政策対応」についても次回会合で提示するよう指示。また、次回取りまとめる今後10年のロードマップについては、「分野別の支援・制度一体型の投資促進策を明確に示し、民間企業の投資意欲を最大限高めることを重視してほしい」と述べた。
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