日本商工会議所の小林健会頭はこのほど、日本経済団体連合会の十倉雅和会長と共に小倉將信内閣府特命大臣(共生社会担当)と会談し、「2024年度卒業・修了予定者などの就職・採用活動に関する要請」を受け、全国の会員企業などへの周知に協力していく考えを示した。小倉大臣は、内定前に他社での就活をやめるよう強要する「オワハラ」防止の徹底をはじめ、学生が安心して就職活動に取り組めるよう採用・選考に関するルールの遵守などを要請。相談窓口の設置など、学生からの苦情・相談を処理するための体制整備・改善向上を求めた。
小林会頭は、「就職・採用活動の早期化・長期化を防止する観点から、一定のルールが必要。広く会員企業に周知する」と考えを表明した上で「多くの企業では6月より前に選考が実施されており、ルールの形骸化は否めない」と指摘。「多様 化する学生側の考え方やニーズを踏まえて、改めて大学・企業の実態・ニーズについても調査・把握し、一律にルールを設定する意義について検討すべき」との考えを示した。
政府による経済団体への要請は、学生が学業に専念し、安心して就職活動に取り組める環境をつくることが重要との認識の下、2018年度以降、実施しているもの。就職・採用活動の日程が一部で早期化し、学生の就職活動期間が長期化する傾向にあること、また、インターンシップなどを契機として、就職・採用活動の日程より前に実質的な就職・採用活動が行われる事例もあることから、インターンシップの適切な実施と就職・採用活動の日程などの遵守徹底を広く経済団体に呼び掛けている。
要請内容のポイントは、広報活動開始が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動開始が卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日が卒業・修了年度の10月1日以降と明示。また、25年度以降は、情報開示など一定の要件を満たすインターンシップを通じて、専門性を判断された学生に限り、3月からの採用選考を可能とする、日程の弾力化を行うと明言した。
2024年度卒業・修了予定者などの就職・採用活動に関する要請【要請内容のポイント(抜粋)】
1.就職・採用活動日程の遵守
広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
2.就職・採用活動に活用できる、インターンシップで取得した学生情報は、一定の要件を満たしたものに限る
3.卒業・修了後3年以内の既卒者は、新規卒業・修了予定者の採用枠への応募を可能に
4.日本人海外留学者・外国人留学生などへの多様な採用選考機会の提供
5.学生の個人情報の取り扱いなどにおける法令遵守、ハラスメント(セクハラ、オワハラ)防止を徹底すること
6.2025年度以降卒業予定の学生で、情報開示など一定の要件を満たすインターンシップを通じて、専門性を判断された学生に限り、6月ではなく3月からの採用選考を可能とすること
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