日本商工会議所は5月31日、東京商工会議所と合同で第2回総合政策委員会(委員長・斎藤保特別顧問)をハイブリッド形式で開催した。委員会には小林健会頭はじめ、全国から35人が出席。東京大学大学院教授の山口慎太郎氏から「子ども・子育て支援はどうあるべきか」、株式会社ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏から「女性人口が生み出す地域人口の未来」について、それぞれ話を聞き、意見交換を行った。
山口氏は、日本の子ども子育て支援について、「家族向け公的支援のGDPに対する割合でOECD先進国の平均に達していない」と指摘。現金給付については、「相対的に効 果が薄い」と述べるとともに、保育所整備によって出生率を大きく上げたドイツの事例などに触れ、「現物給付」のうち、妻の子育て負担を減らす政策の必要性を強調した。
天野氏は、日本の少子化の特徴について、「夫婦間の子ども数の減少ではなく婚姻減」に原因があると指摘。また、共働き世代の方が、子どもが多いという国勢調査の結果に触 れ、「共働き世代を応援しないと子どもは増えない」と指摘した。 小林会頭は、「こども未来戦略会議」において「過去30年やってきた対策が効果を出していない。その原因をレビューすべきだ」と提言していることに触れるとともに、政策については、現金よりもサービスとファシリティが重要との見方を表明。財源については、「歳入増を基本とすべき」とした上で、「社会保障もほころびが来ている。収入ある高齢者から幼児に対する流れを含めて、歳出改革をすべきだ」と述べた。
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