「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針2023)の閣議決定に対する小林会頭コメント
2023年6月16日
日本商工会議所
東京商工会議所
今般の骨太方針において、わが国が、デフレマインドを完全に払拭し、成長と分配の好循環を目指すという明確なメッセージを打ち出したことを高く評価する。これを実現すべく、「新しい資本主義」のもと、政策を総動員して遅滞なく実行していただきたい。
わが国が国際社会の中で引き続き存在感を示すためには、力強い経済成長が欠かせない。所得の向上を通じて、次代の中核を担う若い世代の人たちが将来展望を描けるようにすることが何より大切である。
少子化問題への対応もその延長線上にある。国力維持のためにも、現在のような急激な少子化は食い止めねばならない。先に取りまとめられた「こども未来戦略方針」の中で、安定的な経済成長の実現に先行して取り組む意思が明確に示されたことを歓迎する。「加速化プラン」のもと、真に効果のある対策を国民全体の理解と負担によって実施されたい。
全国的に人手不足が深刻化する中で、成長と分配の好循環に向け、構造的賃上げを実現しなければならない。パートナーシップ構築宣言などの取組みを継続・強化し、サプライチェーンの付加価値増大に加え、取引適正化による価格転嫁を商習慣として定着させることが必要である。
地域活性化に向けた強力な政策的後押しにも大いに期待する。地方では、自然減と社会減の両方による人口減少が産業・経済の疲弊に拍車をかけている。「公的支出を呼び水として民間投資を拡大させる」とした方針を支持する。新たな事業創造や技術開発に対する内外からの投資が行われ、良質な雇用が全国各地に創出・確保されることとともに、中小企業の生産性向上や円滑な事業承継に対する支援を強く望む。
この点、政府が成長戦略分野に掲げるGX、DXを、地域の中小企業も積極的に経営戦略に取り込むべきと考える。東京商工会議所が今夏より始める「攻めの脱炭素」なども参考としつつ、政府は、中小企業がチャレンジしやすくなる環境づくりを進められたい。
内外情勢が大きく変化する中で、さまざまなリスクに備える必要もある。経済・エネルギー・食料、外交・防衛、防災・国土強靭化など、総合的に国と地方の安全保障体制を整備・強化していくことが強く求められる。国費・公費への期待は小さくないが、ワイズスペンディングと社会保障等歳出改革の徹底による財政運営が不可欠である。
以上
記事提供: 日本商工会議所
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