政府はこのほど、知的財産戦略本部(本部長・岸田文雄首相)会合を開き、「知的財産推進計画2023」を決定した。知財戦略を考える上で踏まえるべき日本の現状を基本認識として整理し、スタートアップと大学の知財エコシステムの強化や生成AIと知的財産の在り方についてなど、今後、知財戦略を推進する際に重要となる政策課題と10の施策について提示している。
推進計画では、多様なプレーヤーが、世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会へと変革していくことが重要との考えを提示。「スタートアップと大学の知財エコシステムの強化」「生成AI技術の活用促進と知的財産の創造インセンティブ維持の双方に配慮した必要な方策の検討」「コンテンツ産業戦略、改正著作権法の着実な施行」などに取り組むことなどが示された。
スタートアップと大学の知財エコシステムの強化に向けては、今年3月に策定した「大学知財ガバナンスガイドライン」の浸透を図り、イノベーションのハブとしての大学の機能を強化。生成AIと知的財産の在り方については、著作権侵害などの具体的リスクへの対応をはじめ、必要な方策を検討することとし、「AI生成物が著作物と認められるための利用者の創作的寄与に関する考え方」などの整理すべき論点も示した。
会合に出席した岸田首相は、「コンテンツ産業の強靭化や構造改革、クリエーターの育成・創出を官民一体となって進めるため官民連携による協議の場を設ける」と述べるとともに「改正著作権法に基づき、簡素で一元的な権利処理のための窓口組織の創立と分野横断権利情報検索システムの整備を進める」との考えを表明。関係閣僚らに推進計画を速やかに実行に移すよう指示した。
詳細は、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kaisai.htmlを参照。
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