政府はこのほど、2023年度から27年度までの5年間の教育政策の方向を示す第4期「教育振興基本計画」(23~27年度)を閣議決定した。教育振興基本計画は予測困難な時代における教育の方向性を示す羅針盤となるもの。第4期では、第3期の課題を踏まえ、少子化・人口減少、グローバル化、格差の固定化と再生産など社会全体の潮流を念頭に教育政策の在り方と初等中等教育から高等教育、生涯学習・社会教育の連続性を重視し、共通課題を横断的に捉える視点を取り入れた。
新たな基本計画では「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」をコンセプトに、「グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」「誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進」「地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進」「教育DXの推進」「計画の実効性確保のための基盤整備・対話」の五つの基本的な方針を設定。この方針に沿って、今後5年間の具体的な16の教育政策の目標と基本施策、指標を示している。
教育政策の目標のうち、「グローバル社会における人材育成」では、33年までに日本人学生の海外派遣50万人、外国人留学生受け入れ40万人とする目標を提示。「イノベーションを担う人材育成」については、大学などにおける起業家教育の受講者数の増加や自然科学(理系)分野を専攻する学生の割合を5割程度まで引き上げることを目指す。
「教育DXの推進・デジタル人材の育成」では、教師のICT活用指導力(授業にICTを活用して指導する能力、児童生徒のICT活用を指導する能力)の改善やICT機器を活用した授業頻度の増加などの目標を設定。「NPO・企業・地域団体などとの連携・協働」については、学校と地元企業などが連携した起業体験、職場体験活動、就業体験活動(インターンシップ)の普及促進、リカレント教育の体制構築や教育プログラム開発などにおける企業や地方公共団体などとの連携促進を図る方向が示され、職場見学(小学校)・職業体験(中学校)・就業体験活動(高校)の実施割合を増やす。
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