中小企業庁、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)、経営力再構築伴走支援推進協議会はこのほど、全国の中小企業・小規模事業者の支援者のスキル向上などに向けて「経営力再構築伴走支援ガイドライン」を策定、公表した。ガイドラインでは、経営力再構築伴走支援の具体的な支援の進め方や留意点などを解説。実際の支援事例や効果的なノウハウなどを織り交ぜて紹介している。以下はその概要の抜粋。
【経営力再構築伴走支援ガイドライン(概要抜粋)】
中小企業庁、中小機構、経営力再構築伴走支援推進協議会
第1章 経営力再構築伴走支援を支える理論(略)
第2章 経営力再構築伴走支援モデルの概要
・「経営力再構築伴走支援」は、経営者などとの「対話と傾聴」を通じて、事業者の「本質的課題」に対する経営者の「気付き・腹落ち」を促すことにより「内発的動機付け」を行い、事業者の「能動的行動・潜在力」を引き出し「自己変革・自走化」を目指す支援方法。・経営者の「腹落ち」には、経営者自らの頭の中にある想いを第三者(支援者)に伝えて「言語化」することが重要。支援者は、相手の言葉にしっかりと耳を傾け(傾聴)、共感を示しつつ、適切な問いかけを通じて、相手の想いを整理し、具体的な形に導いていくことが必要。
・経営力再構築伴走支援モデルの3要素
要素1:対話と傾聴による信頼関係の構築
要素2:気付きを促す課題設定型コンサルテーション
要素3:経営者の「自走化」のための「内発的動機付け」と「潜在力」の引き出し
第3章 経営力再構築伴走支援の実施主体(略)
第4章 経営力再構築伴走支援の進め方
・経営力再構築伴走支援をどのように進めるか、どのような支援手法が望まれるか、逆にどのような支援手法は避けるべきかについて、基本的な支援のステップに沿ってポイントを紹介。
<基本的枠組み>
事業者と接する前/伴走支援に入る前に
・事業者と接する前に、経営力再構築伴走支援の対象に事業者が適しているかの見極めが必要。
・伴走支援に入る前に、支援先の候補となる事業者のことをよく確認し、状況に応じた適切な支援を選択する必要がある。伴走支援に適合するかの初期的な確認として、成長への問題意識や意欲などが挙げられるが、支援者は早期に支援が不適と判断しないなどの注意点が挙げられる。
伴走支援の開始~信頼関係の構築~
・経営力再構築伴走支援の実施に当たっては、事業者との信頼関係が不可欠。伴走支援開始の際の留意点や効果的な工夫を紹介。また、支援に当たっては、傾聴が極めて重要。傾聴における姿勢や行動として、支援者が避けるべき点などを指摘。
気付き・腹落ちの促進~本質的課題へのアプローチ~
・事業者との良好な関係が築ければ、事業者に本質的な課題への気付きを促していく。支援者は、事業者が気付いていない本質的な課題に目を向けることを意識し、その課題への対応の必要性について事業者の腹落ち(自分事としての納得感)を促す。
内発的動機付け~オーナーシップの発揮
・経営者の腹落ちは内発的動機付けにつながり、そこから経営者の当事者意識、オーナーシップが生まれることを意識する。この部分が、伴走支援の一連のプロセスで、極めて重要な段階となる。
・事業者の組織構造や事業承継の有無などによって、組織内の部門間や個人間での課題もある。これらを明らかにしていくことで内発的動機付けにつながることもあるので注意が必要。
課題解決~行動変容
・成功体験の蓄積・課題解決の実現には、組織内の人材などソフト面への着目が必要。従業員のモチベーションを高め、当事者意識を持って実行させることで、取り組みが組織に定着し、自発的な仕組みが備わる。
・最初から難易度が高いことや、時間がかかる大きな取り組みに着手させるのではなく、スモールステップで成功体験を積ませることが必要。こうした蓄積が大きな変革へとつながる。
フォローアップ~自走化、自己変革への実現
・事業者による課題解決の側面支援を経て、事業者に自己変革、自走化の動きが現れているかを確認。経営者や従業員の意識変革、行動変容が事業面での成果創出にもつながるため、組織改革だけでなく、その次のステップの将来ビジョン実現までを意識してフォローアップすることが必要。
<支援者側の対応>
・経営力再構築伴走支援は、全ての事業者に活用できる支援方法であるが、事業者の規模に応じた特性があることなどを踏まえ、支援者側の対応として特に留意すべきポイントを整理。
第5章 ケーススタディ(略)
詳細は、https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/keiei_bansou/guideline.html を参照。
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