女性の視点で革新的・創造的な企業の創業や経営を行い、事業を成功させている女性起業家を顕彰し、奨励・支援することを目的に日本商工会議所と全国商工会議所女性会連合会が2002年から実施している「女性起業家大賞」。特集では、9月15日に決定した第22回「女性起業家大賞」でスタートアップ部門とグロース部門の各賞に輝いた10人と、2004年に実施した「第3回女性起業家大賞」受賞者のうちエクセレント賞を受賞した3人を紹介する。
最優秀賞 日本商工会議所会頭賞
矢野 ひとみさん
株式会社シーダ 代表取締役社長
丁寧・迅速・的確な対応で顧客の信頼を獲得
矢野さんは、前職でコールセンター事業を立ち上げた経験を生かし、独立して幅広いチャンネルを扱うコンタクトセンター事業を行う株式会社シーダを設立。会社名は、シード(種・Seed)とコミュニケーションの「C」から名付けた。
事業は、コンタクトセンター業務のほか、人材育成やセールスプロモーションなども展開。コンタクトセンターでは、テクニカルサポートや緊急コンタクトセンター機能も担う。
多様化する顧客の声にしっかりと耳を傾け、課題や心情を理解して最適なサービスを提案し、丁寧・迅速・的確な対応によりクライアントの信頼を構築。またこうした対応を可能とすべく社員教育にも注力し、スキル向上と同時に人としての成長も促してきた。
同社では、社員全員が女性であり、半数以上が時短勤務であるなど、女性が働きやすい職場環境も実現。さらなる最適なサービスの提供に向け、第2コンタクトセンターを増設し、夜間・土日のテレマーケティングといった新事業の展開も目指している。
優秀賞(スタートアップ部門)
藤岡 勢子さん
さくら助産院 代表
子育てしやすい社会に貢献
生まれ育った淡路島内ではお産ができる医療機関がたった1施設という島内の課題に対して、分娩施設の充足や母子・家族のケアが必要になってくると考え、安心して出産・育児にのぞめるまちづくりに貢献したいと淡路島で創業した藤岡さん。安全・安心を第一に、出産前から産後育児に至るまで切れ目のないサービスで、本来備わっている産む力、生まれる力を最大限サポートすると同時に、妊娠出産に直接関係ない世代に対しても健康教育や集いの場を提供している。
同院では、外部機関とも密に連携し、乳幼児の一時預かりを開始。利用者増加への対応、利用者のケアに当たる時間の最大化を目指し、DX推進にも取り組む。創業1年で施設・機器が整い、利用者数も順調に増え、安心して子育てできる社会の実現に大きく貢献している。
優秀賞(グロース部門)
増田 美佳さん
魔法のタイツ株式会社 代表取締役
美脚に見せるタイツがヒット
海外製の「履くと美脚に見える着圧タイツ」に出会い、「むくみ対策」が主流だった国内市場の状況を見て、これまでと違ったアプローチで大きなマーケットになる可能性を感じて起業した増田さん。「I’ll cast a magic on your legs―あなたの脚に魔法をかける―」をキャッチフレーズに、魔法のタイツ・レギンス・トレンカなどのシリーズ商品の企画開発から海外工場生産・顧客提供サービスで高い評価を得る。
ネット販売の市場基盤強化も図り、「商品を手にした感動」「着用した感動」「購入後の感動」の三つの感動で事業の安定を継続。日本の繊維・縫製工場が年々規模縮小する中、日本の繊細なものづくりの継承と高い伝統技術などを取り入れ、またSDGsの観点からも、大量生産ではなく「ものを大切にする文化」を世界に広めている。
スタートアップ部門
創業5年未満
奨励賞
特別賞
グロース部門
創業5年以上10年未満
奨励賞
特別賞
エクセレント賞
※スタートアップ部門は創業5年未満、グロース部門は創業5年以上10年未満 ※エクセレント賞は2004年に実施した第3回女性起業家大賞を受賞後、20年間事業を継続・成長させ、現在においても活躍されている方 ★いずれも順不同
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