政府の規制改革推進会議(首相の諮問機関)はこのほど、第17回規制改革推進会議を開催し、新議長に東日本旅客鉄道の冨田哲郎会長を選任するとともに、「規制改革推進会議の進め方」「規制改革の重要課題」などについて議論した。同会議の下に「公共」「スタートアップ・投資」「働き方・人への投資」「健康・医療・介護」「地域産業活性化」の五つのワーキング・グループ(WG)の設置を決定。来年夏をめどに答申を取りまとめるほか、必要に応じて中間取りまとめを公表する。答申を待たずに、改革を実現すべき事項については早期の実現を求める。
規制・制度改革の重要課題として「人材不足の解決」「賃上げ」「投資の拡大」の実現を強調。政府が取りまとめる新たな経済対策に盛り込む緊急に対応すべき項目として、人 手不足による諸問題が噴出している「交通・観光」「輸送」「医療・介護」「教育」「働き方」の6分野を示した。また、「国内投資・GX/DX」「公共サービス」における措置として、スタートアップ設立円滑化のための公証人による定款認証の見直しや、地方自治体の各種手続きのデジタル化、ローカルルールの廃止(記入書類・様式の統一)などの具体的な提案も行う。
来年の答申、規制改革実施計画策定に向けた当面の課題については、「革新的サービスの社会実装による課題解決」「スタートアップの成長」「国内投資の拡大」「良質な雇用 の確保」「官民連携・公共サービス改革」の5点を強調。「革新的サービスの社会実装による課題解決」については、物流(無操縦者航空機・ドローンの導入、ラストワンマイル配送の円滑化)、医療(オンライン診療、コンビニなどでの医薬品販売、医療データの利活用法制などの整備)、移動(タクシー・バスの運転手確保)などの課題を示した。
スタートアップの成長に向けては、円滑なM&A、適切なコーポレートガバナンスに関する規制などの点検、国内投資拡大については、脱炭素化、デジタル化など革新的な投資を阻む規制のアップデート策などを提示。「良質な雇用の確保」に向けては、副業・兼業の円滑化、本人の意思や世帯の事情(介護など)に応じた柔軟な働き方、官民連携・公共サービス改革については、自治体を革新的サービスで支える基盤づくりなどに取り組むことなどが盛り込まれた。
会議に出席した岸田文雄首相は、緊急に対応すべき課題を新経済対策に盛り込むとともに「兼業・副業の円滑化をはじめとする雇用関係の制度の見直し、医療・物流・建設など の分野における革新的サービスの社会実装、GX、DXなどの国内投資拡大」などへの対応を要請。また、デジタル行財政改革会議と連携し、地域における移動の足の不足への対応、行政手続きに係るローカルルールの見直し、公証人による定款認証制度の見直しなどスタートアップの成長環境の整備などに関する改革への検討加速も指示した。
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