政府は7日、首相官邸で第8回「GX実行会議」(議長・岸田文雄首相)を開催し、国民生活・くらし分野のGX(くらしGX)、産業部門のGX(産業GX)の加速化などについて議論した。日本商工会議所の小林健会頭は、「産業GX」の加速化に向け、大企業に「サプライチェーンでつながる中小企業から、取引価格などの条件面も含めよく声を聞いていただきたい」と要請。岸田首相は、「今後3年間で集中的に2兆円規模の支援策を講じ、くらし関連部門での民間事業者の積極的な投資を呼び込む」との方針を表明した。
日商の小林会頭は、「『物価上昇に負けない賃上げ』の実現には、GX分野での技術開発・実装・普及が極めて重要」と指摘。「産業GX」の加速化に向け、各産業分野をけん引する大企業に、「サプライチェーンでつながる中小企業から、取引価格などの条件面も含めよく声を聞いてほしい」と要請した。また、中小企業の「くらし分野」におけるGX推進について、政府の支援を求めている。
GX経済移行債については、「中小企業を含めたサプライチェーンを通じた事業といった点も考慮してもらいたい」と要請。また、カーボンニュートラル実現に向けては、「原子力や水素などの多様な技術、トランジションに必要な化石燃料活用への技術支援が必要との考えを示した。政府は、今般取りまとめた新しい経済対策においても、「くらしGX」「産業GGX」の加速化に向け、必要な投資支援策を打ち出した。「くらしGX」では、断熱性能に優れた窓の改修や高効率給湯器の購入を支援。クリーンエネルギーを利用した次世代自動車の購入費用を最大で85万円補助するほか、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の購入や家庭用蓄電池の導入、省エネ家電の買い替えも後押しする。
企業の成長投資を再び国内に戻すため、国内支援投資措置も抜本的に強化する。業務用施設のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)化に資する設備機器の導入、省エネ性能の高い次世代パワー半導体に対する追加支援なども実施。生産ラインにおける省エネ投資についても支援措置を打ち出した。
岸田首相は、「国民一人一人の生活が快適で、家計の負担軽減につながるような投資を集中的に進める」と述べ、取り組みを前倒しで実施するために経済対策に盛り込むことを表明。「今後3年間で集中的に2兆円規模の支援策を講じ、くらし関連部門での民間事業者の積極的な投資を呼び込む」との方針を示した。また、12月に東京でアジアゼロミッション共同体(AZEC)の首脳会合が初めて開催されることについて触れ、「日本のGXの取り組みがアジア、さらには世界の脱炭素をけん引できるよう、世界をにらんだ戦略的な取り組みにしていく」と意欲を示した。
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