会員数282人を誇る九州ブロックYEG最大の「久留米YEG」。会員数、委員会数、事業数全てにおいて全国トップレベルのYEGである。近年、「いかに地域と深い関わりを構築していけるか」という課題を掲げ活動している。2024年度には日本商工会議所青年部第44回全国大会(以下、全国大会)を主管で開催することも決まっており、ますます精力的に活動を展開する久留米YEGを直撃した。
全国屈指の会員数と事業数に隠された課題を掘り起こす
「リスクを恐れず、今許される挑戦をしていく、これぞ青年部の役割です」。自信に満ちあふれた表情で語ってくれたのは、久留米YEG2023年度会長の吉田昌宜さん。
創立35周年という節目の年に、歴史ある久留米YEGの会長職に就くことが決まっていた吉田さん。「未来へつなぐ1年にするために自分ができることは?」と思案している最中、久留米YEGとして「地域に必要とされる団体へと成長する」というビジョンが策定された。
しかし、それを達成する方法はすぐには見つからず、答えを探りながらの活動が続く中、24年度日本YEGビジョン委員会委員長の職を得た。そしてついに「答え」を見つけた。それは委員会活動の中でYEGと地域の関係性を調べているときに最大の課題として浮かび上がった「YEGとして地域との関わりが薄い」ということ。
全国屈指の会員数を誇ることなどから「モンスターYEG」と評されることもあるものの、久留米YEG主催のイベントなどは行っておらず、単会と自己研鑽(けんさん)を中心に活動を展開してきた。そこで自身が会長として活動する1年間のスローガンは、地域と一緒になってさまざまなことを創出する「地域共創」と心に決めた。
地域の教育機関も巻き込んで「地元愛」を創出
そもそも「地域とは何なのか?」。メンバーからの質問に吉田さんは「親会・行政・事業所・他団体・教育機関・久留米市民の皆さん、全てが地域です」と答えた。
地域共創について浮かんだ課題を、かつて講師を務めた久留米大学に相談したところ、あるゼミの2、3年生の講義内容を「YEG全国大会での共同事業を考える」とすることが決まった。地元の高校では、一字違うが同じスローガンの「地域協創」を掲げた特別クラスが立ち上がる。生徒には「若者の流失」「どのような企業なら就職したいか」をテーマにアンケートを実施し、教員には定例会に参加してもらい、グループディスカッションを行った。
学校側が期待するのは、若者の社会活動参加や社会性の向上である。YEGと共に活動する機会を設けることで、win-winの関係を築き上げた。吉田さんはさらに、地元の祭りや事業をボランティアだけにとどまらず、一緒に企画などから立ち上げ地元愛を創出していくきっかけとなればと考えている。
創立35周年、全国大会そして未来へ
先日、創立35周年事業を終え、会員メンバーの成長を感じるとともに、深い感謝の気持ちが芽生えたという吉田さん。課題も多く見つかったが、それらは全て24年度に控えるYEG全国大会への改善点だと捉えている。
また、久留米でのYEG全国大会は福岡県の魅力を存分に発信するチャレンジの場と位置付けている。そのチャレンジを成功させるには、メンバーだけでなく、地域の人たちと共につくり上げていく「地域共創」が成功の鍵となる。
では、大会後はどのように地域との関わりをつくっていくのか。 「全国大会のその先は、いかに行政から信頼を得られるか、行政を動かせるほど『YEG』という団体の価値をいかに上げられるかが一番大事だと考えます。全国大会は決してゴールではなく、むしろ今後、久留米が発展していくためのステップです」と、24年度会長予定者の髙木潤一さんは静かに、熱い思いを語ってくれた。
未来を見据え、組織として掲げたビジョンを全体に浸透させ、時代、人が変わろうともしっかりと受け継ぎ実践する。熱い挑戦は今、引き継がれていく。
1年間を振り返って
お疲れさまでした
2023年3月から1年間にわたり、月刊石垣のYEGフラッシュページを担当しました。私たちは合計11単会、北は北海道から、南は鹿児島県まで全国を駆け回って取材し、さまざまな記事を書かせていただきました。取材を快く引き受けてくださった単会会長をはじめ、会員の皆さまには心からお礼申し上げます。
私たちも全国のYEGを取材させていただく中で、多くの会員メンバーと出会い、多くのご縁をいただきました。さまざまな取り組みや個性的な事業、そして、それぞれの単会メンバーの「地域を良くしていこう」という思いに触れ、多くの気付きとヒントを得ることができました。私たちはこの1年間の取材を通じて得たものを、それぞれの地域、そして自企業の発展に生かしていけるよう活動してまいりますので、今後ともご愛読をよろしくお願いいたします。
【久留米商工会議所青年部】
会 長 : 吉田 昌宜
設 立 : 1989年
会員数 : 282人
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