日本商工会議所青年部(日本YEG)は、第21回ビジネスプランコンテストの受賞者を発表した。グランプリ(日本商工会議所会頭賞)には、北村卓也氏(高山YEG)、準グランプリ(日本商工会議所青年部会長賞)には、青木大海氏(高松YEG)、村井俊介氏(高岡YEG)のビジネスプランが選ばれた。3月16日に石川県小松市で開催された第43回全国大会の記念式典で表彰式が行われた。
家具製造技術でウイスキー樽
グランプリを受賞した北村氏は創業78年の木製家具メーカーの4代目。林業の活性化と持続可能で豊かな森林環境を実現させるため、家具づくりで培った技術が転用できる分野を模索していた。
自社の強みを「良木を見分ける選定眼」「製材・乾燥された木材を、適材適所に部材仕分ける能力」「木材の乾燥技術」「木を蒸らして柔らかくしてから曲げる曲げ木技術」であると分析。この強みを生かせる分野を検討したところ、ウイスキーの樽製造事業に着目した。
ウイスキー蒸留所はジャパニーズウイスキーの人気もあり、10年で12倍以上増加している。しかし、樽製造を行っている会社は日本に2社のみで多くを輸入に頼っている。ミズナラ(日本固有のオーク)は、加工が困難で技術を要するが、ミズナラの樽で育ったウイスキーは人気が高く、また、自社はミズナラの加工技術を持っていることから、この事業への進出を決定した。
食品廃棄物をエコフィードに
準グランプリを受賞した青木氏は、世界の環境と経済を両立させるとともに、貧困や難民として日常的に苦しむ人たちを救いたいという思いを実現させるために、食品残渣(ざんさ)やフードロスといわれるような食品廃棄物を価値のあるエコフィード(家畜の食べ物)に変えるマシン「D―Cocotte」プラントを開発した。
「D―Cocotte」は、骨付き鶏の骨、お弁当屋から出る生ごみ、魚の魚腸骨(魚あら)、スーパーで売れ残った野菜や果物など、あらゆるものを投入することができる。投入したものは50~60分程度で、乾燥された香ばしく、異臭が全くない粉末状の粉として出てくる。
バラのジンでフラワーロス削減
準グランプリの村井氏のプランは、富山県射水市で栽培される、香りが強く可食である無農薬バラ「食香バラ」をメインに使用したクラフトジンを、地元企業、専門家と協力し製造・販売する事業となっている。
通常、市場に出回らない規格外の花やハーブを使用することにより、フラワーロスの削減につなげ、自社の持つ土壌改良システムを活用することで、連作障害などを解決。農家の安定的な収入アップや、火を使わないIH式の新しいシステムの蒸留器を使用することで、CO2排出量ゼロで製造ができるようになり、さまざまな社会課題解決型の持続可能な事業を展開する。
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