政府は2月13日、「第23回未来投資会議」を首相官邸で開催した。議論のテーマは「デジタル市場のルール整備」と「フィンテック」の2点。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「人手不足がますます深刻化し、デジタル技術を駆使した中小企業の生産性向上が極めて急がれている中、中小事業者がインターネット上のショッピングサイトを活用することは、安価で効率的な販路開拓による生産性向上を実現するための、極めて有力な手段の一つとなっている。また、消費者にとっても、極めて利便性が高いサービスであると認識している」と述べた。一方で、取引における力関係を背景として、事業者が非常に厳しい契約環境に置かれている点も指摘。「ほとんど規範のない現在のような仕組みのままでは、今後、加速度的に進むデジタル社会において、適正な競争が阻害されるリスクが大きいと考えられる」とコメントし、デジタル市場における取引実態とその問題点に関する調査、デジタル市場の競争状況を的確に評価できる専門組織の設置、プラットフォーム企業とそれを利用する事業者との取引の透明性・公正性を確保するためのルール整備を求めた。
フィンテックについては、「消費者や中小企業にとって、低コストで使いやすい、送金サービスを含む、フィンテックの環境整備がなされることは望ましい」と述べ、早期に規制体系を見直すとする政府の方針に賛同した。
安倍晋三首相は、デジタル市場における取引慣行の透明性と公正性確保に向けた法制やガイドラインの整備、フィンテックに関する規制体系の再編成などについて、夏に取りまとめる成長戦略の実行計画において方針を決定する考えを示すとともに、関係閣僚に検討を進めるよう指示した。
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