以前にもお伝えしましたが、船井総研の創業者・舩井幸雄氏は「長所伸展法で生きた方が良いよ」と常々説いていました。
「長所伸展法」とは自分の長所だけでなく、ほかの人の長所とも付き合うことです。自分の長所が見つからないときは、本当の長所でなくて、理想像でもいいから「これが長所だ」と決め、それを徹底的に伸ばそうとする。笑顔が長所と思われる社員に、社長が「君の笑顔は素晴らしい。君に接客されたら印象に残るだろうね」と語りかけたとしたら、その社員はずっと笑顔自慢の人になるでしょう。これが長所伸展法です。
長所伸展法と同時に大切なのは「ツキの原理」です。簡単に説明すると、「ツクようにしてツキが逃げないようにする」ことです。
この二つを重ね合わせ、流通業に当てはめてみましょう。売り上げが上がらないときは、単価が高くて売れている商品、客数が増えている商品、利益の多い商品の3種を探してください。ツキや長所を備えた商品です。この中のどれかを伸ばそうとしてください。伸びている商品はお客さまに支持されていて、ツイている。だからそれを伸ばす。その商品が自社の長所だと思って徹底的にやってください。
私の指導していた靴専門店の場合、郊外の300坪ある店舗内を、2坪ほどの屋台のように属性別に小分けして客数の伸びを比較しました。例えば、「瞬足」という子供靴があります。陸上のトラックは左回りなので、コーナリングで威力を発揮するように、左右非対称のスパイクが配置され、踏ん張りが効き速く走れると、大ヒットした商品です。子供靴の属性を、瞬足と瞬足ではない靴に分けてみたところ、瞬足が良く売れたので、今度は瞬足を男の子用と女の子用に分けてみました。次に派手なデザインと地味なものに分けて……、とさまざまな属性に分けていったところ、最初2坪だった売り場が10坪以上のツイている売り場となりました。
ところで、世の中の流行は6年ごとにアメリカンカジュアルとヨーロピアンエレガンスが交互に訪れる、とされていることをご存じでしょうか。靴専門店で徹底的に属性を細分化していたとき、エレガンスとカジュアルの境目の瞬間が訪れました。エレガンスの売り上げが前年の10分の1くらいに急落し、カジュアルが10倍に迫る伸びを見せたのです。これは細分化していたからこそ分かったことで、流行の潮目をまざまざと知ったのです。他社はこのことにすぐに気が付かず、時代を先取りしてカジュアル化した指導先は大きな利益を上げました。
流行はツキのことです。アンテナを張り巡らしてツキをつかみ、長所伸展法で業績を伸ばしてください。
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社名 : 株式会社 風土
TEL : 03-5423-2323
担当 : 髙橋
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