タイトルが矛盾している。UFOは「未確認飛行物体」で、そもそも宙に浮いており、物理的にも「地域」との関わりは希薄だ。もしかすると「地球」との関わりすら大してないかもしれない。そんなUFOが何と観光資源になる?
古くから多数の発光物体の目撃例があることから、「UFOの里」をうたう福島市飯野町。そこにあるのは「UFOふれあい館」。一体何とふれあうのか。宇宙人? HPを見ると1992年の開館。「数々の謎の研究資料や、UFOやその他のミステリーに関わる資料を集め、展示する施設」と説明されており、2021年6月24日のUFOの日には「UFO研究所」も開所した。
めちゃくちゃ行ってみたい! 何を隠そう、ゾンビ先生は子どもの頃から未確認動物のドーバーデーモンだの、SFドラマ『X-ファイル』だのが、大好物なのである。 UFOが実在するのか、そのUFOが福島出身(?)か否か、そんなことは瑣末(さまつ)事だ。UFO目撃談の背後には、奥行きのあるUFO・宇宙人文化、それと関わる広大なオカルト文化が控えている。UFOや宇宙人に関する映画、漫画、ゲームなどは枚挙にいとまがなく、UFOでのまちおこしを描いた小説『ロズウェルなんか知らない』(篠田節子著)まである。こうした関連メディアやグッズは史料的価値を持ち、資源になる。 そしてさらに、オカルト文化の背後には「未知のものへの憧れ」があり、それは学術的関心と根っこの部分では共通している。UFOや宇宙人の話を入り口に、宇宙、天文学、ロケット、宇宙開発などとも結び付けられる。
UFO研究所の初代所長は『月刊ムー』編集長の三上丈晴氏。ムーといえば、オカルト文化をけん引してきた代表的雑誌だ。最近、ガイドブックとコラボした『地球の歩き方 ムーJAPAN』なる書籍も発売された。あなたの地域の「あなたの知らない世界」が、観光につながるのかもしれない……。
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