日本商工会議所は9月19日、第139回通常会員総会をハイブリッド形式で開催し、全国の500商工会議所から会頭・副会頭ら約1000人が出席(オンライン含む)した。総会の冒頭にあいさつした日商の小林健会頭は、「停滞から成長への転換点を迎えている。この好機に、持続的な『成長型経済』を実現することが必要」と強調。政府に対して、将来を見通せる金融・経済対策や少子化対策の推進、社会保障制度改革など、経済の構造改革の実行を求めると同時に、民間においては自己変革に積極的にチャレンジする必要性を主張した。
小林会頭はあいさつで、成長型経済の実現に向けて、「経済の基礎体力である『潜在成長率の底上げ』が不可欠」と述べ、「官民を挙げた設備投資の増加、労働力の確保、技術革新や省力化投資による生産性向上に取り組む必要がある」との考えを示した。
中小企業の稼ぐ力の強化については、「価格転嫁の浸透に加え、生産性向上やイノベーションにより、物価上昇率や借入金利を上回る付加価値を実現することが求められる」と述べ、「価格転嫁の商習慣化」に向けた官民を挙げた粘り強い取り組みの必要性を強調。「中小企業が元気になれば、地域やわが国の経済も元気になる」と述べ、全ての企業経営者に向け、強いリーダーシップをもって社会的責務として価格転嫁に取り組んでいくことを求めた。付加価値拡大については、「ビジネスモデルの変革に取り組みつつ、税財政支援を活用しながら、省力化やデジタルによる生産性向上、設備投資や販路開拓など、新たな付加価値を積極的に創造することが重要」との考えを示した。
地域の経済循環の強化については、「域内投資の拡大など、稼ぎ手となる事業者の取り組みを強力に後押しすることが必要」との考えを表明。公共インフラなどの整備促進、高付加価値化を基軸とした持続可能な観光地域づくりの推進といった「面的支援の強化」の必要性も指摘した。
総会では、岸田文雄内閣総理大臣、齋藤健経済産業大臣がビデオメッセージであいさつ。岸田首相は、「30年ぶりとなる水準の賃上げ、100兆円を超える攻めの設備投資など、新たな経済ステージへの『移行の兆し』が、確実に見えている。このチャンスを逃さない、絶対に後戻りさせない」と述べ、政府として、「エネルギー高騰や物価高への対応、価格転嫁対策などへの取り組みを強化していく」との方針を示した。
齋藤経産相は、「将来の『飯の種』を生み出す、社会課題解決型の国内投資を後押しするため、積極的な産業政策をさらに展開し、継続していくことが重要」と述べ、前向きな賃上げに取り組むための「稼ぐ力」の強化に取り組んでいく考えを表明。賃上げ促進税制などの活用に向けた協力などを求めた。
また、自由民主党の梶山弘志幹事長代行、立憲民主党の泉健太代表、日本維新の会の馬場伸幸代表、公明党の山口那津男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表が来賓としてあいさつ。総会議事では、「2023年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。 (役職名は当時のもの)
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