日本商工会議所第139回通常会員総会に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。小林会頭をはじめ、日本商工会議所の皆さま方には、平素からご理解とご協力をいただいておりますこと、厚く御礼申し上げます。
この数年、新型コロナとの闘い、ロシアによるウクライナ侵略や緊迫する中東情勢、世界的な物価高騰、グローバルなサプライチェーンの混乱など、何十年に一度といわれるような難しい課題に次々に直面し、世界が、そして日本が、「時代の転換点」に差し掛かっている、と実感する場面に向き合ってまいりました。
不透明感が強まる国際情勢、30年続いたデフレ型経済の中にあって、「新しい資本主義」の下で、過去30年間日本を覆い続けた「低物価、低賃金、低成長、縮み志向」のデフレ型経済から抜け出し、成長型経済に移行していくこと。これを何としても実現しなければならない、こうした強い思いを持って、取り組んできました。
その結果、ついに、実に30年ぶりとなる水準の賃上げ、100兆円を超える攻めの設備投資、史上最高値水準の株価、そして名目GDPも初めて600兆円の大台を超えるなど、新たな経済ステージへの「移行の兆し」が、確実に見えてきています。
ようやく、ここまで来ました。明らかに、これまでとは違います。このチャンスを逃さない、絶対に後戻りさせない。こうした強い決意をもって、取り組みを進めていく必要があります。
今、日本経済にとって何よりも大切なことは、日本全国の中堅・中小企業の皆さんが、活力を持って、この力強い投資や賃上げに、積極的に取り組んでいただけるようになることです。
まずは地域経済において、エネルギー価格高騰や物価高を乗り越えていかなければなりません。このため、「酷暑乗り切り緊急支援」として、電気・ガス料金補助を行っていますが、秋に策定することを目指す経済対策の一環として、さらに、第2弾の対策の中で、物価高などに対応することとしています。
価格転嫁については、中小企業にも適切に利益が分配されるよう、下請法の執行強化や、「労務費転嫁指針」の徹底、「価格交渉促進月間」における「発注企業の価格交渉・価格転嫁の状況」の公表などに取り組んでいます。「政労使の意見交換の場」などを通じ、私から、「指針」に沿った行動の徹底を、産業界に強く要請してきましたが、引き続き、政府を挙げて、こうした価格転嫁の取り組みを強化していきます。
人手不足対策についても、「省力化を徹底的に進める」「一人一人の能力を底上げしていく」ことで、生産性を向上させ、人手不足に対応してきました。中小企業にも使いやすくする、「賃上げ促進税制」の抜本拡充に加え、リ・スキリングをはじめとした「人への投資」の「5年で1兆円」のパッケージや、面倒な申請書類や手続きなしに省力化製品をカタログから選べる、「カタログ式の省力化投資補助金」を「3年5千億円規模」で措置するなど、人口減少に伴う労働力人口の減少に対応した施策を大胆に講じてきました。
これらの取り組みには、「地域とともに、未来を創る」日本商工会議所のご理解・ご協力が必要不可欠です。これまでのご貢献に感謝申し上げるとともに、引き続き、日本全国の中堅・中小企業が投資や賃上げを進め、日本経済の成長につながるよう、ぜひとも政府と力を合わせて、施策の周知・実施に取り組んでいただければと思います。
結びになりますが、日本商工会議所ならびに各地の商工会議所のさらなるご発展と、本日お集まりの皆さまのますますのご健勝を祈念いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。誠にありがとうございました。
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