日本・東京商工会議所は9月18日、「令和7年度税制改正に関する意見」を取りまとめ、公表した。意見書では、「中小・中堅企業の『稼ぐ力』の強化」や「地域における民間投資拡大」への強力な支援の必要性などを強調。政府・与党へ提出するとともに、全国の商工会議所と連携して、陳情活動を展開し、意見書の内容の実現を強く働きかける。
意見書は、「停滞から成長」への転換局面にあり、30年続いたデフレからの完全脱却を実現し得る好機を迎えているわが国において、雇用の約7割(3大都市圏を除く地方部は約9割)を支える中小企業の多くが構造的・持続的な賃上げや新たな成長投資に取り組むための原資を十分に確保できていない厳しい状況にあると指摘。中小企業の「稼ぐ力」の強化が、わが国の持続的成長への鍵であるとの認識の下、中小企業税制の充実・強化を要望している。
具体的には、①「中小・中堅企業の『稼ぐ力』の強化に向けた税制」②「円滑な経営承継・事業継続に資する税制」③「わが国のビジネス環境整備などに 資する税制」④「地域における民間投資拡大に資する税制」⑤「その他経済活動の活性化・国民生活の向上に資する税制」――の5項目を提示している。
①については、中小企業の「稼ぐ力」の強化に不可欠である前向きな設備投資を後押しするため、今年度末で期限を迎える「中小企業経営強化税制」「中小企業投資促進税制」の延長・拡充などを求めているほか、今年度から施行される「イノベーションボックス税制」の拡充や、省力化・自動化による生産性向上に資する「DX投資促進税制」の延長・拡充などを要望した。
②については、事業承継が中小企業にとって永続的な課題であり、本来期限を設けることは適切ではないとの認識の下、事業承継税制一般措置の拡充を 求めた。また、同税制の活用促進に向け、事業承継時点で3年以上役員に就任していなければならないとする要件の撤廃・見直しなどを求めている。
③では、中小企業の生産性向上には、個人事業主や小規模事業者などの記帳水準の向上が不可欠であると指摘し、「スマート青色申告制度(仮称)」の創設を要望。また、「喫緊の課題である賃上げの取り組みに逆行する」との認識の下、外形標準課税の中小企業への適用拡大に断固反対の意を示している。
④については、中小・中堅企業の前向きな設備投資や地域の稼ぐ力を強化する上で重要な役割を果たしている「地域未来投資促進税制」が今年度末に適用期限を迎えることから、延長・拡充を要望。また、官民一体となった地方創生を実現する極めて有意義な税制である地方創生応援税制(企業版ふるさと税制)も今年度末で適用期限となるため、延長と拡充を求めている。
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