高砂商工会議所(兵庫県)は「結びのひとしなPR事業」と題して、高砂ブランド米「結びの穂」を栽培し、10月下旬から同所会員向けに販売を開始した。同事業は、同所の観光・飲食部会が2023年度から実施しているもの。部会メンバーから、まちおこしの一環として「自分たちで何かをつくり上げよう」という提案があり、企画が始まった。コメに注目した理由は、ご飯から最近注目を集める米粉まで、用途が広いと考えたためだ。同所には、高砂市の飲食店全てで使えるようなコメをつくり、それを使った飲食物をイベントや各店で販売して、同部会の認知度向上、高砂市全体の活性化を図りたい狙いがある。「結びの穂」は環境に配慮しながらつくられているのも特徴だ。
今回販売された「結びの穂」は同部会メンバーなど7事業所が6月に田植えをし、10月中旬に収穫したもの。田植えには23年度のコメの納入先だった保育園の職員と子どもたちも参加し、手植え体験が行われた。収穫されたコメは会員向けに販売されるほか、地域のイベントなどでも販売される予定だ。
「結びの穂」栽培に当たっては、マメ科の越冬草「ヘアリーベッチ」を用いた環境保全型の栽培方法を採用した。ヘアリーベッチを田植え前に育成して土壌にすき込むことで、化学肥料に頼らない豊かな土壌を実現できる。雑草の抑制効果もあり、除草剤も使用せずに済む。23年にはこの取り組みが評価され、農林水産省から温室効果ガス削減の三ツ星ラベル表示を認められた。三ツ星ラベルは温室効果ガス削減貢献率が20%以上であることを表し、同省の温室効果ガス削減ラベルの中で最高位にある。
「結びの穂」という名称は、23年に同所が募集して決定。高砂市は夫婦和合長寿を謡った謡曲「高砂」の舞台で、「結び」や「夫婦和合」を象徴する文化財もあり、「結びのまち」として知られている。「結びの穂」の「結び」はここに由来している。また「穂」には、コメの「稲穂」と市内名産品の帆布(はんぷ)「松右衛門帆(まつえもんほ)」の両方の「ほ(穂・帆)」の意味が掛けられている。
同所担当者は「たくさんの人に高砂市のことをもっと知っていただきたいという思いから始まったコメづくりも、今年で2年目に突入した。事業に参加している事業所の人も、本業で忙しい中、時間を割いて一生懸命コメづくりをしている。今年よりも来年、来年よりも再来年というように、コメの質と認知度の向上に努めていく」と話した。
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