日本商工会議所は1月14日、浅尾慶一郎環境大臣との懇談会を都内で開催し、環境省の幹部8人と商工会議所関係者7人が出席した。日商の小林健会頭は、「GX政策の推進はわが国の経済成長にとっても重要」と指摘。GXの取り組みを地方・中小企業に広げるための強力な支援の継続を求めるとともに、安全性が確認された原発の再稼働など、原発政策の力強い推進を要望した。
会合には、日商側は小林会頭をはじめ、広瀬道明特別顧問(エネルギー・環境専門委員長)、北沢利文特別顧問(中小企業のカーボンニュートラル推進WG座長)、東京商工会議所の渡部肇史特別顧問(東商エネルギー・環境委員会共同委員長)らが出席。環境省側は浅尾大臣をはじめ、中田宏副大臣、五十嵐清政務官、勝目康政務官らが参加した。
小林会頭は、GX政策推進の重要性を指摘し、政府一丸となった政策の継続と取り組みの加速を要望するとともに、「中小企業のGXは、コスト削減につながる『省エネ』から始めるべき。地方の観点からは、脱炭素電源の開発を、立地地域への産業・企業誘致と地元中小企業の振興につなげることが重要」と述べ、政府に強力な支援の継続を求めた。
また、原発政策の推進についても、「GX推進において不可欠」との認識を強調。柏崎刈羽原発など、安全性が確認された原発の再稼働はもとより、新設・リプレースを含め、政府が前面に立った原発政策の力強い推進を要望した。
浅尾大臣は、「2050年カーボンニュートラルに向けては、中小企業の取り組みが不可欠」と指摘。「Scope3排出量の算定・削減の動きが急速に拡大する中、バリューチェーンの一翼を担う中小企業の取り組みが注目されている」と述べた。また、「地域経済の中心的な担い手である中小企業の脱炭素化は、地方創生の観点からも重要」と強調。
地域・中小企業の脱炭素化に向けて、先行事例の横展開や地域への人材派遣、脱炭素アドバイザーなどの人材育成を進めるとともに、地域共生型・地域裨益(ひえき)型の再エネ導入や、燃料転換設備への支援などを通じたエネルギーの脱炭素化を後押ししていく方針を表明した。さらに、来年度予算案において「Scope3排出量削減を含むバリューチェーン全体での脱炭素化」について予算を確保したと述べ、「商工会議所と連携し、着実に実行したい」と意欲を示した。