元プロ野球選手のイチローさんは自分と他人を比較しないそうです。自分は自分の仕事に集中するだけなので、頑張っているかどうかさえも意識しない。もし比較するとしたら、ある時点の自分と現在の自分、という比較の仕方しかないそうです。
私は高校時代、死ぬほど勉強しましたが学年の25番が最高で、それ以上にはどうしてもなれませんでした。その頃、「鯛(たい)の頭と鰯(いわし)の頭」という詩を書いたことがあります。両親ともに高等小学校しか出ていない自分は鰯の頭を持って生まれ、有名大学を出た教養ある親の下で育った鯛の頭の人にはどうあがいても勝つことはできない、といった内容です。
その考えが正しかったかどうか分かりませんが、私は一番になろうとか、人に勝とうとか思ったことはありません。他人と比べても要素が多すぎて何が一番か分からないので、自分が納得できればいいのです。勉強ができる。スポーツが得意。それだけではなく、掃除が上手、人の気持ちの把握が得意、文字がきれい、人を口説くのが上手など、特徴はそれぞれ違います。全てが一番の人なんていないので、比べることに意味などありません。
磨かれた長所に賛同してくれる人が増えてくると、プロと呼ばれるレベルとなり、お金を稼ぐことができるわけです。プロとして稼いでいる人は全て、非常に狭い自分の長所で生きています。
私は船井総研に入社して、舩井幸雄氏の「長所伸展法」(短所を是正するよりも長所を伸ばして強みとする)の教えを知り、自分の立つ瀬を考えて、「独自固有の長所」を磨く重要性を学んで実践しました。「独自固有の長所」という言葉は、人は自分の持っているそれぞれのものを生かして世の中に役立つという考え方から生まれました。