日本商工会議所はこのほど、各地商工会議所が取り組む教育支援活動の実施状況と好事例を取りまとめた事例集「ともに学び ともに育つ 商工会議所の教育支援活動~地域課題の解決と人材育成の両立を目指して~」を取りまとめ、公表した。事例集では、塩尻商工会議所の「ふるさと学」支援や、茂原商工会議所の「キャリア教育応援プロジェクト」など14の好事例を詳しく紹介するとともに、全国515商工会議所を対象に実施した「教 育支援・協力活動に関するアンケート調査」結果などを基に、各地のキャリア教育活動を分析している。
日商の調査によると、回答があった312商工会議所のうち220商工会議所が教育支援活動を実施しており、実施率は70.5%に達した。また、20 20年度以前から実施していた教育支援活動におけるコロナ禍後の対応状況を見ると、「事業を中止・延期し、再開」が69.4%、「予定通り実施・継続」が22.0%と、コロナ禍を経ても事業を継続する割合が9割を超えた。
商工会議所が実施している教育支援活動の形態については、「インターンシップ・職場体験」が28.4%で最も多く、「地元大学との連携(人材育成な ど)」(17.4%)が続く。支援対象は、「高校生」48.6%で全体の約半数を占めた。また、「中学生」は26.5%で、22年度の前回調査(22.4%) から約4㌽増加しており、支援対象が採用に直結する年齢層からより若年層に広がっていることが明らかになった。
教育支援活動を実施する上での課題については、「人的負担が大きい」が60.9%で最多。「その他」25.1%)では、「受け入れ企業数や子どもの数 の減少」「学校との関係づくり」「すぐに効果が表れない」といった意見が挙げられた。
学校で探求学習などの主体性を重視した学びが本格化する中、実社会で必要とされる課題解決力を育む活動が増加しており、総合的な学習の時間を活用した「ふるさと学」支援(塩尻)、高校1年生全員が企業に飛び込む「キャリア教育応援プロジェクト」(茂原)などの取り組みが行われている。
また、今注目されている「金融教育」をキーワードとした教育事業(札幌)など、新しい分野に着目した教育事業も増加。若年層のインターンシップ・職場体験などの活動も広がりを見せており、「みとっ子お仕事探検隊」(水戸)のように、人手不足が続く中小企業を支援するため、採用前の時期にある初等・中等教育段階の子どもたちに、地域愛を醸成する目的で取り組んでもらう活動が目立ってきているなど、教育支援の形は多様化してきている。
詳細は、https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0220140000.htmlを参照。