政府は2月27日、第31回「新しい資本主義実現会議」(議長・石破茂首相)を開催し、国内投資と輸出の促進について議論した。日本商工会議所の小林健会頭は、「中小企業の新たな価値創造とそれを経済の好循環につなげる政策が重要」と述べ、地方創生につながる国内投資の促進と、中小企業の海外輸出促進の2点の必要性を強調した。
地方創生につながる国内投資の促進については、「官民連携の下に国内投資を積極的に行い、事業や仕事を増やし地域の経済循環を太くしていくべき」と述べ、政府にDX、GX促進などを重点政策とした強力かつ抜本的な投資支援を求めた。
中小企業の海外輸出促進については、「中小企業の海外輸出依存度は約3%であり、伸びしろは大きい」と指摘。「日本が強みを持つ観光、高齢化社会対応など、各種事業を攻めの産業領域として確立させ、国として海外展開を強力に後押しすべき」と主張するとともに、地域資源活用の観点から、農林水産物・食品を歴史や伝統、生活文化と関連付けた総合的な輸出産業へと強化を図る必要性を指摘した。
石破首相は、「わが国経済は、現在、賃上げと投資がけん引する成長型経済へと移行できるか否かの分岐点にある」と述べ、わが国のものづくりの強みを生かして成長市場を取り込み、深化した製造業が勝ち筋を追求するとともに、地方におけるサービス業などの生産性向上実現をはじめとした、課題の克服が必要との考えを表明。政府として、GX分野における150兆円超の成長志向型カーボンプライシングの制度化、DX分野での150兆円超のAI・半導体産業基盤フレーム、経済安全保障面でのサプライチェーン国内回帰策など、国内投資について、予見性を高め、規制制度・支援一体で推 進する方針を示した。
また、当日の議論を踏まえ、「中堅企業の創出・成長加速」「新たな勝ち筋となる分野における挑戦の後押し」「産業用地と産業人材への対応」「AI・デジタル技術などがもたらすゲームチェンジ・産業構造転換の主導権確保」の4点に新たに取り組む考えを表明し、関連施策の強化などについて関係閣僚に指示した。