日本商工会議所は4月18日、意見書「新たな段階に入った観光をめぐる課題への対応~国際観光競争の中で選ばれる日本になるために~」を取りまとめ、関係各方面に提出した。25日には、日商の早川慶治郎観光委員会共同委員長(足利・会頭)が、酒井公夫観光専門委員会共同委員長(静岡・会頭)、東京商工会議所の佐々木隆観光委員会委員長と共に石井啓一国土交通大臣を訪問し、意見書を手交した。(意見書概要3面に)
訪日外国人旅行者は昨年3100万人を超え、2020年に4000万人という政府目標も見えてきた。6割とされるリピーターの拡大などにより、観光ニーズは一層多様化しており、観光産業は国際競争の中で革新が求められている。一方、インバウンドの地域的偏在やオーバーツーリズムの問題、交通インフラや決済環境の整備不足、大規模災害といった緊急時の対応力不足など、観光地や地域の観光産業が直面する課題も多岐にわたっている。
同意見書では、こうした課題に対応するため、観光振興の基本的考え方となされるべき対策の方向として、①旅行者をあまねく全国へ分散・拡大させること、②ニーズの多様化に対応した観光コンテンツの提供、③観光産業の競争力向上と人材育成──の三つのポイントを提示。観光は、風景・自然条件や歴史・文化、風土など地域固有の資源を生かし、官民を挙げた総合力によって魅力の創造・提供を行う地域の一大産業であるとして、国の内外から交流人口と消費を呼び込み、地方創生実現の柱として振興していくことを求めている。
具体的には、①については、地方へのアクセス確保のための2次・3次交通網の充実、地域の公共交通を補完するITなどを活用した新たな交通サービス(MaaS)の地域の実情に合った推進支援、SIMカード活用も含めたシームレスなネット環境の拡大などを提言。②については、歴史的建造物などのユニークベニュー(特別な空間)としての活用奨励、文化財の自治体における保存・活用の促進、地域固有の特徴を生かせる産業観光やスポーツツーリズムといったテーマ別観光の推進などを求めている。③については、IoTやAI、ロボット技術などを活用した宿泊施設・店舗運営の省人化・省力化、外国人とのコミュニケーションを円滑にするモバイル通訳機器導入に対する観光事業者への支援などを要望している。
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