日本・東京商工会議所と日本経済団体連合会は3月11日、「アジア大洋州地域大使との懇談会」を都内で開催した。懇談会には、経済界から日商の小林健会頭をはじめ78人、外務省から宮本新吾南部アジア部長、アジア大洋州地域大使ら36人が出席した。
小林会頭は冒頭のあいさつで、「世界情勢の先行きが不透明な今こそ、アジア太洋州地域との連携が、一層重要になってきている」と指摘した上で、「懸念されるのは、米国による関税措置などにより、ルールに基づく自由貿易体制が揺らぎ、世界経済への影響が深刻化しかねないことだ」と述べた。一方で、「アジア大洋州諸国の多くが、自由貿易の重要性を十分に認識しており、日本と共通の立場をとる国々でもある。IPEF(インド太平洋経済枠組み)やCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)など、この地域発の多様な枠組みを活用し、一丸となって自由貿易を守ることで、さらに発展させていく責務がある」との考えを示した。
小林会頭のあいさつに続いて、韓国、中国、インドネシア、タイ、ベトナム、インド、オーストラリアの7カ国の大使から、各国情勢を中心とした説明があり、その後質疑応答を実施した。中国の金杉憲治大使は、対米関係について「中国は準備して報復関税を用意しており、米国市場を多少失ったとしても、グローバルサウスの市場でリカバリーできると判断している。少子高齢化、税制、戸籍問題、社会保障などの社会構造問題を2029年までに解決するにはここ数年が正念場」との見方を示した。